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[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.490]早くも半壊状態に陥った菅義偉政権

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.490 2021.3.22                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1091》    早くも半壊状態に陥った菅義偉政権    ーーだからこそ余計にしがみつく五輪開催 【2】《CONFAB No.489》閑中忙話(3月14日~20日) 【3】《FLASH No.400》    緊急事態宣言と首相、都知事、五輪関係者の歪ん    だ執念ーー日刊ゲンダイ3月18日付「永田町の裏    を読む」から転載 【4】《SHASIN No.430》付属写真館 ■■ INSIDER No.1091 2021/03/22 ■■■■■■■■ 早くも半壊状態に陥った菅義偉政権 ーーだからこそ余計にしがみつく五輪開催 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  首都圏の感染者数は「下げ止まり」どころか横ばいか らさらにジリジリと増加に向かっていて、「さらに大き な第4波を招く危険がある」という専門家の警告すら発 せられている中、菅義偉首相は敢えて3月22日からの 「緊急事態宣言」の全面解除に踏み切った。  理由は簡単で、コロナ禍は収束に向かいつつあるとい う共同幻想を作り出して、25日の聖火リレー出発式典を 盛り上げるのでなければ、いよいよ五輪開催が危うくな るからである。しかしこれは、何の勝算もない危険な賭 けで、それに失敗して本人がコケるのは勝手だが、全国 民にも全世界にも大迷惑をかける結果になりかねない。 そのことへの想像力が全く働いていないのが菅である。 ●第4波の発生は避けられない?  そもそも、首都圏に限って緊急事態宣言を延長するに 際して、政府はなぜそうするのかの理由を合理的に説明 しておらず、従ってまた延長したその2週間に何と何を すればどこまで感染を低減できるのかの見通しも示して いないので、「ここまでは達成した。そこで、解除はす るが次の段階としてこのことが大事だ」といった説得性 を以て国民を導くことができない。  本来であれば、鎮静化に成功した多くの国がそうした ように、(1) まずはPCR検査を誰でも無料で何度でも受 けられるようにして、今回のコロナ禍の最大の困難であ る「未発症感染者がその自覚なしに感染を拡大してしま う」という事態に歯止めをかけること、(2) そこで見つ かった感染者は自宅待機だとかホテル滞在だとか中途半 端なことをせずに、野戦病院型の臨時施設を増やして問 答無用で完全隔離してしまうこと、(3) そしてクラスタ ーが発生した場合の局所的ロックダウンを徹底すること ーーなどが必要なのだろうが、そのようなメリハリのつ いた対応はなされず、ただ単に国民の自粛と飲食店の営 業時間短縮だけに頼るだけだった。だから、多くの人々 には、「解除」と言っても、首都圏の飲食店の営業時間 が1時間延びるだけか? といった印象しか残らないこ とになる。  緊急事態宣言を出すのも引っ込めるのも何の論理性も 科学性もないこの腑抜けたやり方では、リバウンドを避 けるのは難しい。中村好一=自治医科大学教授は「第4 波は8割の確率で起こる。4月に発生してもおかしくな い」と指摘している(3月21日付日経)。

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