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[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.491]土こそいのちのみなもとーー高田宏臣『土中環境』に学ぶ

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.491 2021.3.29                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1092》    土こそいのちのみなもと    ーー高田宏臣『土中環境』に学ぶ 【2】《CONFAB No.490》閑中忙話(3月21日~27日) 【3】《FLASH No.401》    広がる不安感…枝野代表のままでは政権交代はお    ぼつかないーー日刊ゲンダイ3月25日付「永田町    の裏を読む」から転載 【4】《SHASIN No.430》付属写真館 ■■ INSIDER No.1092 2021/03/29 ■■■■■■■■■ 土こそいのちのみなもと ーー高田宏臣『土中環境』に学ぶ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  いのちあるすべてのものは、元を辿れば土から生まれ る。土がなければ草も木も生えず、その草木を食む動物 も育たず、その動物を餌にする動物も存在しない。それ らすべては最終的には土に還っていき、その土からまた 新たないのちが生まれる。土こそいのちのみなもとであ るというのに、そのことを知らないどころか、土が生き ているということ自体に無知な人がいる。たとえば、泥 まみれになって帰ってきた子どもを、褒めてやればいい のに、「なあに、こんなに汚くして」と叱ってしまう若 い母親のように。 ●土中に広がる「通気浸透水脈」  では、土がいのちのみなもとであるのは、いかなる構 造によってなのか。造園家にしてNPO法人「地球守」代 表である高田宏臣に言わせれば「通気浸透水脈」であ る。  健全な土中環境においては、降り注いだ雨が円滑に染 み込み、ゆっくりと土中を流れる。土の中だけを流れる のではなく、まるで息継ぎするかのように、地上に湧き 出してはまた土中に潜り込むという行き来を繰り返す。 その水の動きに連動して、空気も押し出されたり引き込 まれたりしながら土中を動く。その見えない空気と水の 流れ(つまり風水)が「通気浸透水脈」である。  健全な森の場合、土中は5層構造をなす。が、それは 固定的ではなく、植物相が充実すれば構造が深部にまで 発達していく。 《O層》落ち葉や小枝などが積もったフワフワ布団のよ うな層で、これが乾湿の変化や雨撃から表層土壌環境を 守る。 《A層》分解途上の落ち葉と菌糸と植物根が混ざった腐 植層と、その下の腐植が進んで分解され団粒構造となっ た黒土の層。土中の生命活動が最も豊かに展開され、樹 木の細根も最も多く張り巡らされる。 《B層》腐植は少ないが、有機物の土壌化作用の影響も 受けて土塊が褐色を帯びる。土塊の間や亀裂に通気浸透 水脈が通るとその周辺から団粒化が始まり、それに沿っ て木の根も伸びてくる。 《C層》土ができる元となる母岩の層で、ここに木の根 が達し菌糸が働くようになると母岩が溶けて土が形成さ れる。 《R層》深部なので生物的な土壌化作用はほとんど受け ないが、地殻そのものの動きの影響で空気が活発に動い ていて、それがC層から上のいのちの営みを支えてい る。

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