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第157回 NFTとブロックチェーン その1
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▼今回の記事
今回はいま話題になっている「NFT」の概要について書く。いま相場が極端に上昇している分野だ。この分野で注目されているプロジェクトもいくつか紹介する。
▼「NFT」とはなにか?
いまなにかと「NFT」という言葉を聞く機会が多くなっている。
3月25日、日本人の世界的VRアーティストであるせきぐちあいみのVRアート作品「Alternate dimension 幻想絢爛」が「NFT」のオークションサービスの「オープンシー(OpenSea)」で約1300万円の値を付け、落札された。
また、3月22日、米ツイッターの創業者、ジャック・ドーシーが2006年に初めて投稿した「just setting up my twttr」(自分のtwttrを設定中)。このツイートが約3億円で落札された。
そして極め付けは、デジタルアーティスト・「ビープル(Beeple)(本名:マイク・ヴィンケルマン)」による、「NFT」に基づいたデジタルアート作品、「Everydays - The First 5000 Days」が、クリスティーズのオンラインセールにて約75億円で落札された。
こうしたニュースが相次ぎ、急に注目されたのが「NFT」だ。
●「NFT」とは代替え不可能なトークン
ではこの「NFT」とは基本的になんなのだろうか?「NFT」とは「非代替性トークン(Non-fungible Token)」の略である。このようにいってもピンとこないので、少し詳しく説明して見よう。
「NFT」とは、ブロックチェーンに登録されたデジタル作品の所有権証明書と鑑定証明書を仮想通貨のトークンにしたものである。なぜこれが「非代替性トークン」と呼ばれるのかは、次のような例を見ると分かりやすいだろう。
たとえば、ここに昭和元年に印刷された印刷ミスのあった1円札があったとする。世界にはひとつしかない1円札だ。この1円札は現在でも通貨としての価値は認められており、日本で流通することは可能だ。1円としての価値がある。しかし、実際にこの1円札を1円として使う人はいないであろう。この1円札には昭和元年の印刷ミスのある固有のアンティークとしてのプレミアムが付くので、古銭市場では数百万円の値で取引されるかもしれない。
この例では、額面通りの1円の価値として認められ、他の商品と交換可能なものは「代替可能」である。他方、昭和元年の印刷ミスのある1円札のように、世界にはひとつしかないオリジナルなものは他のものとは代替できないので、「非代替」と呼ぶのである。
したがって「NFT」とは、固有なデジタル作品がオリジナルであることを保証する鑑定証明書と、それを所有する権利である所有権証明書の2つをセットにしてブロックチェーンに登録し、その証拠をトークンにして発行したものである。これが「NFT」だ。アート作品など固有性の高いものに導入されている。
トークンなので、他の仮想通貨と同じように、スマホやコンピューターにインストールしたウォレットに入る。
●以前からあったアート作品の登録
この「NFT」の特徴を列挙すると、次ようになるだろう。
1)所有権と来歴の記録
「NFT」が適用される中心的な分野にのひとつはアートだ。しかしアートは、特に中間業者の介在が多い分野だ。それらは、アートディーラーや美術商などだ。どんなアートの作品でも、こうした多くの中間業者を介して市場に出てくる。信頼できる中間業者の存在は、アート作品のオリジナリティーを証明するためには重要だ。
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