今週のざっくばらん
WWDC
アップルからWWDCへの招待状が送られて来ましたが、興味深いのが、そこで使われている下の画像です。
一見、普通のメガネに MacBook の画面が映り込んでいるだけに見えますが、そうではなくて、これはARグラスが開発者向けに提供されることを意味するのではないかと、期待が膨らんでしまいます。
ARの応用は色々と考えられますが、開発者として一番欲しいのは、バーチャルモニターです。普段は、MacBook Air にモニターを繋いで2画面で仕事をしていますが、もっと大きなモニターが欲しいと思うし、3つ目のモニターも欲しくなります。しかし、VRグラスでバーチャルモニターを表示出来るのであれば、大きさや数に制限がないので、MacBook Air だけでどこでも仕事が思いっきり出来るようになります。
そんなことが可能なVRグラスをアップルが $500 ぐらいで発売したら、私も含めて開発者の大半が購入するだろうと思います。
Epic Games
Epic Gamesに関しては、このメルマガでも何度か触れて来ましたが、ちょうどとても気になる発表があったので、それに絡めてこの会社について少し書いてみます。
その気になる発表とは、Epic Games がCapturing Realityという会社を買収したという発表(Capturing Reality is now part of Epic Games)ですが、未上場の会社間の吸収合併ということもあり、大きなニュースにはなりませんでした。
Capturing Reality は、複数の写真から3Dモデルを作るソフトウェアを提供する会社で、もともとは業務用にこの技術を提供してきた会社です。しかし、3Dゲームがリアリスティックになるに従い、表示する物体のポリゴン(物体の形や大きさを多角形の集まりで表現したもの)やテクスチャ(ポリゴンに貼り付ける素材)を手作業で作るよりは、実在するものから生成した方が良いケースがあるということで、そちらのニーズが伸びていたのだと思います。
Epic Games は、Capturing Reality は独立した会社として残しつつ、その機能を(3Dゲームの開発環境である) Unreal Engine に取り込むと述べています。
Epic Games は、Fortnite、Infinity Bladeなどのポピュラーなゲームで大きな売り上げをあげている会社です。特に Fortnite は、若年層には大人気なバトルゲームで(18から24歳が63%)、プレーヤーの数は、去年の5月で 3.5億人を超えています(Fortnite Usage and Revenue Statistics)。
バトルゲームであるにも関わらず、3D空間に複数の人が集まれるという点を活用したバーチャル・コンサートも実際に開かれるようになっており、同時に1200万人が参加するという(現実ではありえないような)大規模なコンサートも開かれるようになりました(Travis Scott Destroys ‘Fortnite’ All-Time Record With 12.3 Million Live Viewers)。
Fortnite のビジネスモデルは、ゲームそのものは無料で、キャラクターに(戦闘力とは関係のない)着せる洋服を買わせるというとても健全なモデルです(ガチャのように射幸性を煽って稼ぐようなことはしていません)。LendEDU のアンケート調査によると、約 77% のユーザーが平均で年 $102.42 を使っているそうです(The Finances of Fortnite: How Much Are People Spending on This Game?)。
賞金付きのトーナメントも行われていて、賞金総額も $100 million を超えており、トッププレーヤーの Bugha は $3.1 million 稼いでいます。
トータルの売り上げは、2018年が $2.4 billion で、ゲームとしては過去最大のものとなりました(Fortnite earned record $2.4bn in 2018, the 'most annual revenue of any game in history')。2019年には新鮮味が失われたのか、少し売り上げが下がりましたが、それでも $1.8 billion だったそうです。2020年のデータは入手出来ませんでしたが、累計では $5 billion を超えています(参考までに言うと、映画の世界では、No.1 の「Avatar」の売り上げが累計で $2.8 billion です)。
Epic Games の大半の売り上げはゲームからのものですが、そのコアには、Unreal Engine と呼ばれるゲームエンジンと開発環境があります。
3Dゲームを作るには GPU の活用が必須で、開発者は DirectX (Windows、Xbox)、Metal(iOS、MacOS)、OpenGL(PlayStation、Nintendo Switch)などの Graphics API を使いこなす必要があります。
しかし、それらの API を使いこなすのはとても難しい上に(ソフトウェア・エンジニアの中でも、使いこなせる人たちはごく一握りです)、異なるハードウェアや Graphics API ごとに作り込んでいたのでは手間がかかって仕方がありません。
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