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第158回 NFTとブロックチェーン その2
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▼今回の記事
今回はまず、「NFT」を含む仮想通貨全体を巡る状況を解説する。次にメインテーマとして、この分野で注目されているプロジェクトを紹介する。
▼「NFT」を巡るアメリカの状況
いま「NFT」への期待が急速に高まっている。その後押しをしているのは米バイデン政権の巨額の経済対策である。周知のようにすでにバイデン政権は、最大で15万円の国民への給付を含む200兆円に上る経済対策を実施し、さらに20年間で200兆円のインフラ建設計画を立案している。またFRBも、ゼロ金利を含む金融緩和政策の継続を表明している。
そうした状況で、余剰資金は株式を始めあらゆる市場に流れてており、相場が過熱している。これで最大の利益を享受しているのは富裕層だ。相場に投資できる余裕を持った社会層が、もっとも大きな利益を上げている。そうした状況で、株式のみならずビットコインを中心とした仮想通貨の市場にも投資が殺到し、相場を押し上げている。
「NFT」の上昇の背景になっているのも同じ状況だ。「NFT」は新しい資産として注目され、チャンスを狙った投資家の資金が殺到している。ビットコインが資産として注目され始めた2010年や2011年の状況とよく似ているという指摘もある。
●「NFT」に対する米国内の反発
一方、アメリカ国内で高まる「NFT」に対する反発も注目すべきだろう。あらゆる相場の上昇で、これに恩恵をあずからない低所得層との社会的格差が拡大している。そして、格差にあえぐ社会層の標的になっているのが「NFT」だ。
ビットコインのような仮想通貨は、相場が激しく変動する投機的な側面はある一方、送金や決済手段としての実質的な機能も持っている。それに対し、「NFT」にはそうした機能もまったくない。それは、手持ちの余裕資金を持て余した富裕層が、面白半分で投資をしているゲームのようなものでしかないのではないかという非難だ。こうした非難は日増しに高まっているように見える。
●根拠のない「NFT」?
「NFT」が生成されているのは、希少価値のあるデジタルアートである場合が多い。それらは絵画のようなアート作品として見なされるので、それらが投資対象になる理由も分かる。しかし、そうではないものも多く、これらが非難の対象になっている。
例えばピザデリバリーの大手、「ピザハットカナダ」だが、世界初の「非代替ピザ(NFP)」である「1 ByteFavourites」を発表した。これは、毎日ランチタイムに、「ピザハット」のお気に入りのレシピの「One 8-bit-style version(8ビットスタイルバージョン)」をオークションにリリースするものだ。
これは、ピザのデジタル写真権の販売である。デジタルのみのピザコレクションは「1バイトのお気に入り」と呼ばれているが、その理由は、8ビットが1バイト(噛む)に等しいする駄洒落だ。
これはピザのデジタル写真でしかない。当初これは1枚18セントという比較的にリーズナブルな価格でオークションに出されたものの、8824ドル(約90万円)まで高騰した。ピザのデジタル画像の所有権が90万円である。ピザの画像にはアートとしての希少価値を見いだすことは困難だ。
しかし、オークションで取引される「NFT」はこんなものではない。人々の怒りをかったものには、こんなものもある。ニューヨークの36歳の映画監督、アレックス・ラミレス・ミラスという人物は、自分がした屁の録音の「NFT」を販売した。すると、85ドル(9000円)の値がついた。屁の音のデジタル録音の「NFT」が9000円で売れたというのだ。いくらなんでもこれはあまりに人をばかにしているという非難が相次いだ。
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