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【Vol.372】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「教員免許の更新制度、文科省は意地を張らずに見直しを」  教員の免許更新制度というのは、第一次安倍政権の時に「教育再生会議」 という意味不明(何が失われ、何を再生するのかが曖昧)な諮問機関が行っ た提言が元になっています。結果的に、2007年の法改正により、200 9年から導入されたものです。要するに教員免許の年限を10年として、期 限が来たら30時間の講習を大学で受ける、その際の費用は自腹という制度 です。  導入後、民主党は2009年の「マニフェスト」で「教員免許制度を抜本 的に見直す。」と言っておきながら、改革を行いませんでした。この時に、 既に問題点が浮き彫りになっていたにも関わらず、改革を行わずにズルズル 来たということでは、民主党も同罪、いやもっと罪が重いということです。  色々な関係者にダイレクトに聞いたところでは、講習というのは、教員養 成大学に行って特別な夏季講習を受けるわけです。そのコストは、まあ3万 円程度だそうですが、問題は膨大な業務を抱えてブラック化している職場を、 ある一定の期間抜けなくてはならないという負担です。これは現場には大き な負荷になっているようです。  その上に、講習の内容というのも問題だそうです。例えば、不登校とか、 逸脱行動、いじめといった内容についての授業では、講師である大学教員は 一般論を述べるだけ、それに対して現場教員からは「先生の認識は甘い、具 体例としてはこんな事象があり、こんな対策をしている」というような「ど っちが教えているのか分からない」ような問答になるのがオチだそうです。 最後には講師の方が「貴重な情報ありがとうございました」などと「現場教 師に頭を下げる」という意味不明なこともあるそうです。  更に、免許の更新手続きにも多くの「ワナ」があり、「ウッカリ失効」と いうのが問題になっているようです。特に問題になっているのが、校長や教 頭などには、研修の免除規定があるのですが、「事前申請」をしないといけ ないので、やらないと自動的にクビになるのだそうです。バカバカしいにも 程がありますが、ではどうしてこんな悪しき制度が導入されたのでしょうか? (以下略)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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