■人は「強さ」と「温かさ」で評価されている
人の評価は一瞬で決まってしまう。その意味は大きく、人生のあら
ゆる側面を左右する。人を評価する時、品定めする時に、無意識に
行う2つの観点がある。それは「強さ」と「温かさ」だ。
「強さ」とは、個人の能力の高さや物事を成し遂げる意志の固さだ。
強さを感じさせる人物は、人々の尊敬を集める。「温かさ」とは
「この人にもっと近づきたい」と相手に思わせる優しさや親近感だ。
私たちは温かい人に心惹かれ、冷たい人に反感を覚えるものだ。ま
た、いかにも強そうな人には一目置くが、見るからに弱々しい人間
にはあまり注意を払わないものだ。
★
人は「強さ」と「温かさ」を同時に感じさせる人物に、敬意と憧れ
を抱く。つまり、無意識のうちに、常に「強さ」と「温かさ」の2
つを指標にして人を判断しているのだ。
このことに気がつくと、あらゆる物事の見方が変わる。「強さ」や
「温かさ」を発揮している人を観察すれば、彼らがなぜ、人の心を
惹きつけるのかが理解できるようになるはずだ。
一方、魅力に欠ける人物は「強さ」や「温かさ」ではなく「弱さ」
や「冷たさ」を感じさせる。真面目に働いていても、自信なさげで
自分の仕事に手一杯では周囲の尊敬は集まらない。
だが「強さ」と「温かさ」を同時に発揮することは、簡単ではない。
なぜなら、強さと温かさの間には、シーソーのように反比例する力
学が働いているからだ。
「強さ」をアピールする行動には「険しい表情を浮かべる」「筋肉
を誇示する」「難しい言葉を使う」などがある。それらの多くは、
「温かさ」の面でイメージダウンにつながる。
同様に「温かさ」を表すシグナルは「笑みを絶やさない」「優しく
語りかける」「他人に尽くす」などだ。これらの多くは「弱い人間」
という印象を与えることがある。これが人々をジレンマに陥れる。
★
「強い人」は、意志の力で物事を成し遂げることができる。「強さ」
は、その人がどれだけ世の中を思い通りに動かせるかを測る尺度だ。
これは「能力」と「意志の力」から成り立っている。
「能力」には、世界を動かす上で必要な資質「体力」「専門スキル」
「社交術」「ノウハウ」などが含まれる。「意志」は、障害や抵抗
を乗り越えて、行動を貫き通そうとする熱意のことだ。
「強さ」をアピールし、周りの人からの尊敬、あるいは畏怖の念を
引き出すことは確かに可能だ。だが、それだけではある程度の成果
しかあげられない。
単なる「敬意」を「称賛」にまで引き上げるには、人々の好感を得
なければならない。そのためには「温かい人」というイメージを打
ち出すことだ。
「温かさ」という言葉は「親近感」や「愛情」を表すのによく使わ
れる。人に温かさを感じさせる感情は、主に「共感」「親しみ」「愛」
の三つだ。
★
「強さ」と「温かさ」は両立しづらいものだ。だが、どちらか一方
をフルに発揮している時、もう一方の特性も同時にアピールできる
こともある。
有能な人物が職場にいた時「自分もあんなふうになりたい」と憧れ
を抱くかもしれない。つまり、彼の「強さ」は「温かさ」を生み出
しているのだ。
一方、同僚に愛されている人は、誰かと意見が衝突した際、大勢の
味方を得ることができる。つまり「温かさ」は「強さ」につながる
のだ。好感度が決め手になる仕事なら「温かさ」こそが「強さ」だ。
「強さ」「温かさ」という観点から自分自身の姿を見直せば、他人
とうまく接する方法がわかる。目指すべきは、この「強さ」と「温
かさ」を兼ね備えた人物なのだ。
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