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第159回 現物資産のトークン化とブロックチェーン その1
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▼今回の記事
仮想通貨全体の相場が上昇している。そこでまず今回は、その背景になっている状況を簡単に解説し、今後の動きを展望する。
次にメインテーマとして、現物資産のトークン化の動きについて概要を紹介する。その1である。いま「NFT」と並んで注目されている領域だ。すでにこの分野で稼働しているプロジェクトもいくつか紹介する。
▼仮想通貨を巡る状況
ビットコインを中心とした仮想通貨の上昇の勢いが強い。近い将来の全面的な大暴落を懸念する声はあるものの、投資銀行などの機関投資家を含め、相当な資金が仮想通貨の市場に流れているものと思われる。
前回の記事でも紹介したように、その背景のひとつになっているのは、IMFの「SDR(特別引出権)」の枠拡大を含めたアメリカなどの主要国における通貨供給量の増大である。各国が実施している巨額の経済対策がこの原因だ。これは通貨価値下落によるインフレ懸念を生んでおり、これを回避するために仮想通貨に投資が流れていることが背景にある。
通常インフレは、通貨供給量の増大だけでは起こりにくいとされている。需要が供給量を上回る需給ギャップがあり、その状況で通貨供給量が増大した場合にインフレは起こり安い。いまアメリカを中心に各国が実施している経済対策の効果で、経済の急速な回復が顕著になっている。GDPの成長率は著しい。筆者のもうひとつのメルマガにも書いたが、以下のようになっている。
2020年 2021年
中国 2.3% 8.4%
アメリカ ー3.5% 6.4%
日本 ー4.6% 3.3%
特にアメリカを中心に見ると、この急速な回復は次のような要因によってもたらされている。これも筆者のもうひとつのメルマガにすでに書いた。
<米国経済「急成長」の要因>
1)巨額の経済政策
2)ウイルス接種の進展による社会活動の再開
3)相場の上昇による消費拡大
4)FRBの金融緩和策
これは、経済の急速な回復によって需要が大きくなり、需給ギャップが生まれつつある状況を示している。これは、経済対策実施に伴うかねてからの通貨供給量の増大とあいまって、実際にインフレを引き起こしている。これは特にアメリカで顕著だ。これも筆者のもうひとつのメルマガに紹介したが、もっともインフレ率が高い物品では以下のようになっている。
鉄鋼:22%
石油製品:11%
住宅:13.4%(6月の見通し)
材木:100%から300%(地域による)
特に鉄鋼、石油製品、材木などは他の製品の原材料となるので、全体に物価水準を押し上げるインフレ要因となっている。
●仮想通貨への投資拡大
このようなインフレ率の予想を越えた上昇は、構造的なデフレの状況にある日本を除き、主要各国で徐々に見られるようになっている。この動きはさらに加速する懸念さえ出てきた。
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