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【Vol.373】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「論点が完全にズレまくっている外資比率問題」  フジテレビ(CX)を傘下に置く「フジ・メディア・ホールディングス」 が株式保有に伴う議決権の外資比率が放送法で定める20%を超えていたと 発表し手問題になっています。菅総理の子息が勤務している東北新社が「お 咎め」となったので、心配になって告白したという格好です。  重要なのは、この規制というのは、単に手続きの問題だということです。 外資規制というのは、仮に、外資が日本の放送局を買収して、日本の国益に 反するニュースを流したり、革命でも起きればいいと世論操作をしたりする 状況を防止するためですが、とにかく「株を買われてしまって」も、株式に 伴う株主総会での「議決権を与えない」という手続きをすればいいので、事 実上大きな問題になることはありません。CXさんの場合も、問題はない事 例ですし、そもそも問題は解決されており過去形です。  そんなことで騒ぐ前に、外資の横暴が懸念される問題はたくさんあります。  東芝はカナダ系のファンドに買われるかと思ったら、それも流動的になっ て、様々な海外勢力が狙っています。日立金属も外資に売られつつあります。 また楽天グループも、外資アマゾンとの市場の食い合いに生き残る資金が国 内では得られないので、中国テンセントの資金が入ることになりました。そ うなると、日本郵政も間接的に外資に買われた形とも言えます。  別に資本に国境はないとは言え、中国の共産党政権はアリババに対して、 「大き過ぎる」がゆえに弾圧をしており、自由経済とは程遠い状況になって きました。テンセントの資本は、既に日本の多くのテック関連の企業に入っ ています。これに加えて楽天もというわけです。排外主義の立場でなくても、 やはり心配になります。  東芝、日立金属、楽天などの問題は、CXさんの書面上の手続きの話と比 較したら、何千倍何万倍も大事なのですが、そっちはスルーして、CXさん と総務省のバカバカしい綱引きに関心を向けるというのは、全く見当違いと 思うのです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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