■すっきり伝わるシンプルな技法
「長く話せば伝わる」「長く話せることは素晴らしい」そんな風に
思われがちだ。だが、大事なことは長さではない。「自分が伝えた
いことや思いが、正しく伝わること」だ。
まずは、伝えたいことを1分にまとめることだ。理由は、長いと聞
いてもらえないからだ。人の意識はそれほど長い時間、ひとつのこ
とに集中できないのだ。
言葉を相手にしっかり相手に届けるには、1分でまとめるスキルが
不可欠だ。10分で話すことも、2時間かかることも、すべては1分
でまとめる力からスタートする。短い言葉で端的に伝えることだ。
1分は、思いのほか長く、色々なことが話せる。文字にしてアナウ
ンサーなら300字、一般人でも250字分くらいは話せるはずだ。も
ちろん、スピードや間の取り方で大きく違ってくる。
聞き手の年齢や会場の広さに合わせてスピードをコントロールして
話すようにすることだ。そのためには、時間を計りながら練習する。
TPOに合わせて話し方を変えるスキルは自信につながるはずだ。
★
言葉は、しっかり相手に伝わってこそ価値がある。伝わらなければ、
言っていないのと同じだ。自分の意思や意見をしっかり伝えるから、
リーダーシップが発揮できるのだ。
そして、人を動かすには「聞いてもらう、共感してもらう、動いて
もらう」のスリーステップが必須だ。人は複雑だ。論理だけでは共
感できないし、共感だけでは動けないのだ。
相手に言葉を届けて聞いてもらうには、自分が叶えたい目的が明確
であることだ。その目的を達成するために、有効な手段と方法をじ
っくり考えることだ。
考えたことをどのような言葉と行動で伝え、相手の共感を引き出す
かが肝要だ。簡潔で、的確な言葉が相手に浸透した時、相手の心が
動き、行動につながるのだ。
★
1分でまとめるコツは「結論と理由」をセットにした伝え方を習慣
にすることだ。「過程」は後だ。人は「どれだけ大変だったか」と
か「どう解決したか」など、つい過程から話しがちだ。
というのも、人の意識は常に、自分にとって大変だったことや辛か
ったことに向いているからだ。だから、つい自分が話したいことか
ら話してしまう罠に陥りやすいのだ。
しかし、相手が真っ先に知りたいのは、常に結論と理由だ。特に、
ビジネスシーンは多忙な中、複雑で頻繁な情報交換を行わなければ
ならないのだからなおさらだ。
★
しっかり伝え、聞いてもらうには、相手に解釈させないことも大事
だ。特に「大きい、小さい、重い、軽い、きれい、汚い」などの形
容詞は、人により捉え方が違うから、具体的な数値や形で伝える。
たとえば「売り上げは、昨年よりも増えました」と言うより「売り
上げは、前年比で10%増えました」と言った方が、確実に具体的に
伝わる。
「一年間」という言葉も、経理部の人は4月から翌3月まで、他の
人ならは1月から12月までと捉えるかもしれない。同じ言葉でも、
立場や経験や部署によってまったく異なる意味を持つのだ。
「大きなビル」より「30階建ての高層ビル」「きれいな色」より、
「桜の花のようなきれいな色」という風に、数値や比喩でより具体
的に伝えることが「伝わる」の基本だ。
自分は知っていても、相手が知っているとは限らない。ガバナンス
やコンプライアンスなどのカタカナ語は理解できないことを前提に
話す。使う時は、フォローしながら説明すると伝わりやすいはずだ。
このような手法を用いることで、話を1分でまとめられるようにす
るべきだ。そうすることで、言いたいことが伝わりやすくなる。伝
わる人の手法は、シンプルなものなのだ。
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