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【Vol.375】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「ディレク・ショービン有罪の意味」  2020年5月25日、ミネソタ州のミネアポリス市で、46歳の黒人男 性、ジョージ・フロイド氏が警察の拘束下で首を膝で7分間に渡って圧迫さ れた死亡するという事件が発生しました。実行犯のデレク・ショービンとい う白人警官は解雇され、最初は傷害致死に等しい「第3級殺人」容疑だった のが、後に殺人罪である「第2級殺人」で起訴されました。  公判は2021年3月から開始され、4月20日に判決が下されました。 結果は、起訴された「第2級殺人(未必の故意による計画性はない殺人)」、 「第3級殺人(傷害致死)」「第2級傷害」のいずれも有罪であり、最大で 禁固40年という判決となりました。  この判決は、同種の事件において警官が殺人で有罪になったケースが極め てまれである中で、全米における判例変更を迫る重要な判決という評価がさ れています。これを機会に、2つの大きな問題が良い方向に転換することが 期待されます。  1つは、奴隷制廃止以来のアメリカ黒人が教育、雇用、生活水準といった 面で平等な地位を与えられていないという問題です。貧困地区は治安が悪く 黒人はむしろ被害者になりやすい、そして今回の新型コロナの問題のように 黒人は「現場仕事」に従事せざるを得ない中で感染のリスクにさらされてい る、そのような社会全体の大きなスケールとして明らかに不平等があり、そ れが諸悪の根源だという問題です。  もう1つは、そのような黒人社会にはアメリカという国家への不信感があ り、とりわけロス暴動に始まり、2014年、そして2020年に起きた様 々な事件が象徴する警察への根強い不信感があるわけですが、警察の側にも そうした黒人に対する嫌悪や軽蔑のカルチャーがあり、その結果として相互 不信がいつまでも続いているという問題です。(以下略)

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  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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