「ディレク・ショービン有罪の意味」
2020年5月25日、ミネソタ州のミネアポリス市で、46歳の黒人男
性、ジョージ・フロイド氏が警察の拘束下で首を膝で7分間に渡って圧迫さ
れた死亡するという事件が発生しました。実行犯のデレク・ショービンとい
う白人警官は解雇され、最初は傷害致死に等しい「第3級殺人」容疑だった
のが、後に殺人罪である「第2級殺人」で起訴されました。
公判は2021年3月から開始され、4月20日に判決が下されました。
結果は、起訴された「第2級殺人(未必の故意による計画性はない殺人)」、
「第3級殺人(傷害致死)」「第2級傷害」のいずれも有罪であり、最大で
禁固40年という判決となりました。
この判決は、同種の事件において警官が殺人で有罪になったケースが極め
てまれである中で、全米における判例変更を迫る重要な判決という評価がさ
れています。これを機会に、2つの大きな問題が良い方向に転換することが
期待されます。
1つは、奴隷制廃止以来のアメリカ黒人が教育、雇用、生活水準といった
面で平等な地位を与えられていないという問題です。貧困地区は治安が悪く
黒人はむしろ被害者になりやすい、そして今回の新型コロナの問題のように
黒人は「現場仕事」に従事せざるを得ない中で感染のリスクにさらされてい
る、そのような社会全体の大きなスケールとして明らかに不平等があり、そ
れが諸悪の根源だという問題です。
もう1つは、そのような黒人社会にはアメリカという国家への不信感があ
り、とりわけロス暴動に始まり、2014年、そして2020年に起きた様
々な事件が象徴する警察への根強い不信感があるわけですが、警察の側にも
そうした黒人に対する嫌悪や軽蔑のカルチャーがあり、その結果として相互
不信がいつまでも続いているという問題です。(以下略)
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