◆時が止まった街/原発爆発から10年ーー福島県双葉町を行く(前編)
時20時が止まっている……。
国道6号線を北上し大熊町に入ったときに感じた。
原発事故当時の状況のままで建物が残っている。 建物は傷んではいるものの、まだ使えないこともない感じだ。
しかし、周りに伸びている雑草や植え込みの木が年月の経過をあらわにしている。 双葉町に入る時に、「ここは帰還困難区域 高線量区間を含む」という看板があった。
体の中に緊張感が走った。
コロナ禍で移動自粛を呼びかけられているのに、なぜ私は福島第一原発の地にいるのか。 地元の支援企業である株式会社アルムシステムが双葉町にビジネスホテルをオープンするにあたり来賓としてご挨拶を依頼されたからである。
4月28日朝、東京から常磐線を乗り継ぎいわき市に到着。 大学時代の先輩で保育園を経営している宮内先輩にお迎えに来ていただき、昼食を保育園でご馳走になった後、レンタカーで双葉町に向かった。
いわき市も被災地であるが、復興は進んでいる。 しかし、北上するにつれて次第に原発事故の爪痕を感じるようになってきた。
看板20大熊町、双葉町に入ると国道の脇に入ることはできない。 全て通行止めになっており、自由に街の中へ入ることはできないのだ。 北上する車はまばらで、私の前にはパトカーしかいない。 南下してくる車はほとんどがダンプカーなど作業車である。
朽ち果てている建物も見える。 だが、建ち並ぶ住宅にはいまも人が住んでいるかのようだ。 時が止まったように見える。
津波で避難した人は、目に見える災害なので避難することに納得もいっただろう。 だが……
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