2021年 第 18号
【長尾和宏の「痛くない死に方」】
こんばんは。長尾和宏です。
一年で一番気持ちのいい季節を迎えていますね。新緑が美しい。
しかし、マスクをしていると花の香りさえわからなくなっています。
物理的にも精神的にも息苦しい日々、いかに今まで、嗅覚に支えら
れて生きてきたか。僕は直観的な人間なので、「香り」を嗅ぐだけ
でなく、患者さんを診るときも、実はものすごく嗅覚を使って生き
ています。また、コロナの後遺症の方は、人によっては、かなり長
期間嗅覚がやられてしまうこともわかっていて、これは地味にシン
ドイ。嗅覚というのは、QOLと直結した機能だからです。
今日は少し、「耳鼻科」的なお話をしましょう。
最近の報告によれば、コロナの発症後、8週間程度経過して、PCR
で陰性となった人のうち4割程度の人が、嗅覚がおかしいと感じて
いることがわかっています。
臭いの情報を脳に伝える、鼻の奥にある嗅細胞は、毎日再生を繰り
返しています。日々、新しい嗅細胞が既存の神経回路にきちんと組
み込まれるため、 古いものが失われても、嗅覚が失われることは、
本来はありません。
嗅覚は、ほかの五感と比べてやや特殊な構造となっていて、脳への
刺激に一番直結しているといわれています。そのため、ほかの五感
以上に、人間は、なんらかのにおいをキャッチすると、記憶や情動
などの脳機能にも影響するのです。
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