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高野孟のTHE JOURNAL Vol.497 2021.5.10
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1098》
米バイデン政権は本当に中国と戦争をするつもり
なのか?ーーワシントンの外交専門家からも湧く
警告の声
【2】《CONFAB No.497》閑中忙話(5月2日~8日)
【3】《SHASINNo.436》付属写真館
■■ INSIDER No.1098 2021/05/10 ■■■■■■■■■
米バイデン政権は本当に中国と戦争をするつもりなの
か?ーーワシントンの外交専門家からも湧く警告の声
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バイデン米大統領の対中国姿勢は、好意的な言い方を
すれば「硬軟両様」だが、率直なところ、定義不明な言
葉が整合性もとれないまま並べられていて、本当はどう
しようとしているのかよく分からない。
国際情勢分析家のイアン・ブレマーによれば、バイデ
ン政権の対中姿勢には3つの性向が混在していて……、
第1は、中国を「封じ込め」て「新冷戦」に突き進も
うというもので、政権内の嫌中派や軍事的タカ派がこれ
を支持している。
第2は、米中対立の激化には得るものは何もなく、米
中が「相互依存」しつつ中国を既存の多国間の枠組みに
受け入れていくべきだとする考え方で、政権内の経済重
視派や経済界主流はこの線である。
第3に、ジョン・ケリー特使がすでに実践しているよ
うに、気候変動を最大の脅威とする視点から米中協力を
進める立場。
バイデン政権は「3つ全てを組み合わせたアプローチ
をとる可能性が高い」が、「南シナ海の軍事拠点化や香
港・台湾の抑圧などを巡って対決姿勢を鮮明にしなが
ら、温暖化の防止や新型コロナの封じ込めで手を握るよ
うな芸当ができるのか。……決定的な衝突に至るのを避
け……中国と賢く競う道を米国は何とか探り当てるべき
だ」と、ブレマーは提言している(3月18日付日本経済
新聞電子版)。
●トランプ政権から受け継いだ?台湾重視
もちろんバイデンは慎重に言葉を選んでいて、決して
中国を「敵」とは呼ばず「唯一の競争相手」といった言
い方をしている。彼が就任後初めて主催する首脳級会合
となった3月12日の米日豪印=クアッドで「自由で開か
れたインド太平洋」を強調しても、それを「中国包囲
網」と露骨に言い募ることは避けている。
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