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【Vol.378】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「五輪追加費用、問題はIOCより国内の利害調整では?」 (前略)  もう1つの契約のスキームとは、放映権料の扱いです。大ざっぱに言って、 最も大口の放映権料は、米国のNBCが東京、パリ、ロスまでの長期契約で、 そのうちの東京の分が約1300億円(12億ドル)と言われています。仮 に中止になった場合は、IOCとしてはその額が入らなくなるわけで、そう するとその全額を「違約金」として東京サイドに請求するという噂があるわ けです。  確かにそうなれば、東京サイドの負担額は大きくなりますし、何よりもI OCの収入減について全額を東京が「かぶる」というのは理不尽です。「ぼ ったくり」というような言葉が独り歩きしているのも、この点を中心にした ものだと思います。  ところが、この問題、つまり「もし放映権料が入らなかったどうするか ?」という点については、IOCと東京サイドには契約が存在するようです。  これは、「BRA」というものです。正式には "Broadcast Refund Agreement" といって、そのものズバリ「放映権料返金契約」ですが、日 本語訳としては「IOC拠出金の払い戻しに関する契約」という名称になっ ています。  尚、私の入手した契約書は、2017年12月26日に作成されたという サインのない契約書案ですが、東京都のドメインにぶら下がっていた(リン ク不明)ものですから、相当に正式なものだと思います。尚、この時点では 2018年2月頃に契約締結予定となっており、別の後日の資料によれば、 実際には2018年2月24日に締結されたようです。  尚、この2018年の2月24日に締結されたというのは、より公式性の 高い資料にあったものですから、恐らく事実だと思われます。また、201 7年の12月から2018年2月にかけては、まだパンデミックの予兆すら なかった時期ですから、契約を変更する理由はなさそうです。ですから、こ の文面で締結されたと考えることにします。  またこの文面ですが、2020年9月29日に東京サイドとIOCが締結 している「1年延期に伴う契約改定(アメンドメント4)」には、「BR A」はそのまま有効であると書いてあります。したがって、問題の「BR A」は現在も有効と考えられます。  では、その「BRA」には何と書いてあるのかというと、(以下略)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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