コロナ禍での物価下落は大きくない
「コロナ・デフレの反動?」
米国のインフレ率が上昇していることについては、5月17日のレポートでも紹介しました。FRBは足元のCPI上昇を、昨年春がコロナで大きく下落した「ベース効果」といい、従って今回の上昇は一時的と言っています。日本でも昨年のインフレ率低迷は、コロナの影響にしている面があります。
しかし、そもそも昨年のコロナ禍でのデフレは、言われるほど大きくなかったとみられます。米国の消費者物価上昇率は食料とエネルギーを除いたコアで、2019年の2.2%から2020年は1.7%に低下しました。このうち、新型コロナの感染ショックが走った昨年春の動きをみると、4月が前月比0.4%下落、5月が0.1%下落と、2か月間物価が低下しましたが、その後はすぐに持ち直しています。
日本も米国の「コア」に相当するエネルギーも除いた「コアコア」をみると、2019年の0.6%の上昇から0.2%の上昇に減速しています。やはり前月比では昨年4月に0.3%下落しましたが、その前後での下落はなく、1回限りでした。その後政府の「Go To」キャンペーンで宿泊代などが下落して全体を下げましたが、これはコロナデフレではなく政策対応によるものでした。
つまり、コロナ危機下での物価の下落は一般に認識されるほど大きくなかったことになります。FRBのいう「ベース効果」も決して大きなものではありませんでした。これは、コロナショックによる需要減を打ち消すような、目に見えない上昇圧力があった可能性を示唆しています。
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