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第6章 ゼンネルトと生きた原子、質料形相論、そして自然発生(後半)

BHのココロ
  • 2021/06/02
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今回は前回にひきつづき、僕の第2著作『人文主義医学と自然哲学』(2011年)から、最終章となるゼンネルトについての第6章の後半を試訳にてお送りします。 6. ゼンネルトにおける自然発生  ここまで考察した諸点にもとづいて、ゼンネルトは親子が同一種ではない「自然発生」と呼ばれる「特異発生」generatio equivoca の問題に眼を向ける。ここでの彼の言説は、リチェティから大きな影響を受けている。動植物の通常発生の場合と同様に、彼は発生の直接的な原因として天界や星辰の介入を認めない。またオカルト質や世界霊魂、あるいは天界から送られるという生命精気も受けいれず、偶然性も排除する。 彼以前に提唱された自然発生についての諸原因を退けたあと、ゼンネルトはリチェティの見解を説明する。それによれば、自然発生は物質に潜んでいる内的な原理によって起こるのだという。こうしてゼンネルトは、自然発生の原因が通常発生の原因とさほど違わないことを認める。後者の場合でも、発生の原理は物質内に潜んでおり、人間の感覚ではとらえられないことが多いのだ。 リチェティにしたがってゼンネルトは、自然発生は通常の作用者によって起こるとまで主張する。そしてリチェティの考えに依拠して、この作用者を説明しようとする。それによれば、文字どおりの「種子」によって発生する生物でも、「種子の類比物」をもっているのだという。厳密にいえば、種子とは親の霊魂と同一種の霊魂をもつ物体であり、通常発生によって生まれる動植物に見出せる。

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