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在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説 大澤 裕 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1. カマラ・ハリス副大統領の沈黙(米国の国境危機) 2. トランプはポピュリズム政治家だったのか? 3. 執筆後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 抜粋 2. トランプはポピュリズム政治家だったのか? カマラ・ハリスは不法移民の急増に対する見解を発表せず様子をうかがっていますが、主張的に対極にあったトランプはどうだったでしょう。 昨年の大統領選挙の報道で「トランプはポピュリズム(人気取り・大衆扇動)に長けている。多くのアメリカ人はそれに操られているのだ」という説明がよくありました。 そうでしょうか? 実際にTVのインタビューや討論会などで見るトランプはぶっきらぼうで「有権者の心をつかみたい、好印象を与えたい」という様子は全くありませんでした。 一期目の選挙。彼は本気で怒っていました。国境で捕まえた不法移民を米国内に釈放してしまうキャッチ・アンド・リリース政策にです。「国境になっていない!」「人がどう思うかは知らん。しかし、これだけは言わせてもらう。キャッチ・アンド・リリース政策は国を亡ぼす!」と憮然とした表情でした。 「選挙演説ではこの不法移民問題がもっとも有権者にアピールした」とは言っています。しかし有権者の反応を見ながら、人気取りのために自分の意見を調整するような事はありませんでした。例えば不法移民が悲惨な死に方をしたというような事件があって、世論が不法移民に同情的なったとしても、彼はその主張を微塵も変えなかたでしょう。 考えてみてください。トランプはニューヨークをはじめとする米国の大都市に不動産をもっています。米国が強く美しく魅力的であることが、彼の不動産価値にとっても重要なのです。 特に彼の本拠であるニューヨーク市は「サンクチュアリ・シティ(聖域都市)」と呼ばれる不法移民に寛容な政策をとっているので不法移民が集まってきます。それは残念ながらニューヨークの治安を悪化させ価値を落とします。つまり彼が不法移民に対して厳しい態度をとるのは、民衆の心をつかむためではなく有体に言って自分の利益なのです。 それは株取引でいう「ポジショントーク」に見えます。ポジショントークとは、ある株式を持っている人が、「この株は上がるよ」と回りの人に伝えることです。皆が買えば、彼がもっている株式の価値もあがります。 「米国は復活する、復活させなければならない」という彼の主張は、米国に大きな不動産をもつ彼のポジショントークのようなものです。自分が所有しているからこそ、絶対に守らなければならないのです。米国の繁栄と彼のビジネスの繁栄がほぼ同じなのです。 トランプにとっては有権者の人気(ポピュラリティー)を得て大統領選に勝つか否かよりも、米国の不動産価値が高くなる方が重要だったとしても不思議でありません。大統領職は一過的なものですが、不動産ビジネスは自分の子供が継承できるからです。そのため不法移民政策に真剣な怒りがありました。 それを多くのアメリカ人はある意味、純粋で信じられるものと感じたのです。そして彼の怒りに共感する人が予想以上に多かったのです。

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