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第166回 予測市場とブロックチェーン その2、デジタル人民元の本当の目的

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 第166回 予測市場とブロックチェーン その2、デジタル人民元の本当の目的 …━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… ▼今回の記事 まず今回はサブテーマとして、デジタル人民元の本当の目的について解説する。知っておくべき情報だと思う。次にメインテーマとして、分散型予測市場のその2として、この分野で注目されているプロジェクトを一挙に紹介する。 ▼デジタル人民元の本当の目的 それでは今回の最初のテーマを書く。いま中国政府が急速に推し進めている「デジタル人民元」導入の本当の目的についてだ。 周知の通り、中国の中央銀行である「中国人民銀行」は、2020年4月から「デジタル通貨電子決済プログラム」を開始し、「デジタル人民元」を蘇州の相城区と深センで、決済や送金の手段としての実験を開始した。その後この実験は拡大され、成都、河北省の雄安新区、そして上海で実施された。2020年11月までに中国では、4兆元の「デジタル人民元」が流通し、中国の6つの国営銀行につながったスマホのアプリを通して、すでに400万回のトランスアクションがあった。 そして北京冬期オリンピックが開催される2022年には、「デジタル人民元」の導入実験を中国全土に拡大する計画だ。これが実現すると、中国は主要国で「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」を導入する最初の国になる準備が整う。 ●ビットコインの規制強化か? 多方面からこの動き警戒感する声が出ている。その一つが中国政府による仮想通貨の規制強化、ないしは全面的な禁止の可能性に対する懸念だ。 もし「デジタル人民元」が一般的な決済・送金手段となると、ビットコインを中心とした既存の仮想通貨は、流通過程を混乱させる要因となる。「デジタル人民元」が法定の決済手段であるとき、他の仮想通貨も同時に決済手段として使われると、「デジタル人民元」の使用の拡大を阻害する要因にもある。 またもし万が一、「デジタル人民元」よりも既存の仮想通貨のほうが決済・送金手段として使い勝手がよいと判断されるようなことでもあれば、「デジタル人民元」から他の仮想通貨への両替の動きが加速し、「デジタル人民元」の価値を安定的に維持するのは難しくなる可能性も考えられる。 このような状況を回避するため、中国政府はビットコインをはじめとした既存の仮想通貨の使用を全面的に禁止する懸念がある。もちろんこれが起こると、ビットコインなどの既存の仮想通貨は大暴落することは間違いない。 ●国際決済通貨のドルに対する挑戦 そして、「デジタル人民元」の導入でもっとも警戒されているのが、ドルの覇権への挑戦だ。周知のように現在は、国際決済の約60%がドルで行われている。これは自国通貨の価値高騰を恐れた国々が保有するドルがアメリカに還流してくるので、アメリカにはすこぶる有利なシステムだ。アメリカの膨大な国家予算も、他国の米国債買いで維持されている。また国際決済に使われる送金システムの「SWIFT」も、ドルがベースとなっている。 もし「デジタル人民元」が本格的に導入されると、瞬時に行われる電子決済システムのほうが既存のドルよりもはるかに使い勝手がよい。その結果、「デジタル人民元」が、国際決済通貨として使われる可能性が高くなる。そうなると国際送金システムとしての「SWIFT」も放棄され、アメリカへのドルの還流は停止する。これはアメリカの国家予算を支えている米国債の暴落にもつながるので、アメリカにとっては大変な事態になる。 中国は「デジタル人民元」の導入でドル覇権体制に本格的に挑戦し、アメリカの世界覇権の弱体化を図るねらいがあるのではないかと見られ、警戒されているのだ。 ●的外れな懸念 実はいま、「中国人民銀行」の幹部の発言など、こうした懸念を打ち消す内容の報道が増えている。まずビットコインを中心とした既存の仮想通貨の使用が全面的に禁止される可能性だが、それはほとんどないという見解が多い。それというのも、ビットコインをはじめとした既存の仮想通貨は、相場の投機的な変動が激しく価値の安定性がないので、一般的は決済手段としては使えない。その点では、流通・決済手段としての「デジタル人民元」の拡大を阻害する要因にはならないのだ。

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  • ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
  • 昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。
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