K字型回復の危うさ
「見劣りする日本の景気回復」
OECD(経済協力開発機構)が5月31日に公表した世界経済見通しの改定版を見ると、世界や主要国の成長率が上方修正される中で、日本が下方修正された点が目立ちます。2021年の成長見通しは、前回3月の見通しに比べて、世界全体は0.2%上方修正され5.8%成長となりました。米国は0.4%上方修正の6.9%、中国は0.7%上方修正の8.5%、ワクチン接種の進む英国は2.1%上方修正の7.2%となりました。
その中で日本は前回から0.1%下方修正されて2.6%成長と、主要国の中では最も低く、数少ない下方修正の国となりました。英国や米国に比べるとワクチン接種が大幅に遅れ、かつ経済対策も米国に比べると大きく見劣りします。ワクチン接種の遅れが批判されるユーロ圏でもすでに接種率が4割近くに上り、経済が正常化に向かっています。OECDもこれを評価し、今年の予想を0.4%引き上げ、4.3%としています。
日欧はともに1-3月のGDP成長率がマイナスとなりましたが、欧州では3月、4月と回復を示す景気指標が広がり、4-6月以降の回復が見込まれる一方、日本はまだ回復のめどが立ちません。4-6月は当初プラス成長に転じるとの期待がありましたが、10都道府県に発出された緊急事態宣言が延長され、消費を中心に制約が続いているため、4-6月も連続のマイナス成長となる懸念が高まりました。
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