6月4日、アメリカの「5月の雇用統計」が発表になりました。
新規雇用者は前月比55.9万人増しと、市場予想の中央値67.
5万人増しに届かず。
市場は、この日の「雇用統計」で、「新規雇用者数が低いので、テ
イパリングはまだまだ先」と表面的に判断して、長期金利が低下、
株式市場は上昇しました。
しかしながら、この日の雇用統計をもっと注意深く調べると、平
均賃金は上昇しています。
2021年5月の平均賃金は前月比0.5%増し、前年比では
2.0%増しでした。
「平均賃金:前年同月比2.0%増し」については、一見低いよう
に見えます。が、この「2.0%増し」は、前年の2020年5月
と比較したものです。
2020年5月と言えば、賃金の低い外食産業・ヘルスケア産業
などの対面サービスで働いている人々がバカスカと2,000万
人もリストラに遭遇していた時期です。
その結果、2020年5月の平均賃金は極めて高めに算出された
という「特殊事情」があります!
今年5月の「平均賃金の前年同月比:2.0%増し」の実態は、も
っともっと高い上昇率だったと指摘できます!
この日の雇用統計で、アメリカ経済の内部では、力強い景気拡大
の下で、「物価上昇―賃金上昇」という「良いインフレへの好循環」
が始まっていることが証明されたのです。
6月4日の雇用統計の発表を境に、40年ぶりに「大きな地殻変
動」がとうとう始まったのです。
しかしながら、市場関係者の多くは、時代の歯車が大きく旋回し
始めていることに、ほとんど気がついていないようです。
テイパリングは市場の想定以上に近いでしょう。
6月10日(木曜日)には、アメリカの5月の消費者物価指数(CPI)
が発表になります。
この夏、市場にはボラティリティーが再び戻って来ることでしょ
う。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)