【天使の招待状】
そこは初めて来た高級ホテルのラウンジだった。
テーブルも程よく離れていて、都会のぎゅうぎゅうに詰め込まれた席に小さくなりながら座るような喫茶店ではなく、ゆったりとしたソファーに、ガラス越しには人工とは思えないくらい、自然な滝が流れていて、来ただけで優雅な気持ちになれるようなラウンジだった。
何だか分からないままに来たのだが、豪華なラウンジに一人喜んでいた。
ホテルにあった置き手紙は、天使からの招待状だった。
「トトがしごとやすみやからしゃーない
まゆげをととのえておこしくらさい」
〜かわいい ここちゃんより
天使がやる事に意味を考えてもキリがないことは、この2年で学んでいたリュウトは、何も考えないようにしていた。
とりあえず、こんなに豪華なラウンジはリュウトとは縁のない場所なので、少なからず良いこととしておこうと思っていると、
「おぉ、トト! こっちやこっち」
高級ラウンジに見とれていると、すぐ後ろの席から声がしたので振り返って見ると、なんとここちゃんだけではなく、スマホをずーっといじっているくたびれたポロチャツの中年男性と、やたらと手かがみ見ながら前髪を気にしている中年男性が座っていた。
だいたい、リュウトと同年代と思われる昭和世代の男性二人である。
リュウトが不思議そうな顔をしていると
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