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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 076
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、無人カートによる配送をご紹介します。
無人カートは、自律走行をするカートで、郵便や宅配、デリバリーなどで使われるものです。受け取る人のスマホには通知が行くので、QRコードなどで解錠すると、自分の荷物が入っているボックスのドアが開くという仕組みです。マンションやオフィスビルなどでは、走る宅配ボックスとして利用することができます。
現在、ECの京東、即時配送(デリバリー)の美団が、すでに実戦投入を始めていて、それに続いてアリババも子会社の菜鳥物流が実戦投入をしています。京東と美団の無人カートは、公道も走行します。
技術的には、自動車の自動運転技術のサブセット版であり、ハードルがものすごく高いわけではありません。すでに技術面では成熟の局面に入っているといってもいいかもしれません。
しかし、運用ノウハウが難しいのです。例えば、日本のフードデリバリーである出前館やウーバーイーツが無人カートを導入したとしても、すぐにはうまくいきません。そもそも日本の場合は、無人車の公道走行は法的に許されていません。法的な問題がクリアできたとしても、階段や段差などには対応できません。いくら自動運転といっても、環境が整えられている道路しか走行できないのです。
つまり、この技術のポイントは、配送のプロセスのどこに無人カートを使うかという運用設計、運用ノウハウです。これは実際に運用してみないとわからないところが多いので、中国のテック企業は早くから実証実験を進めてきました。現在は、そのようなノウハウが蓄積され、無人カートの使いどころが見えてきたという段階です。
では、なぜ中国のEC、デリバリー企業は無人カートの開発をするのでしょうか。配送コストを下げて競争力を高める。それも目的のひとつですが、大目的ではありません。最も大きな理由は、労働人口の減少です。中国はもはや労働力不足で、人出を使う労働集約的な事業は成立しなくなっていきます。労働集約企業の典型である宅配企業やデリバリー企業は、この危機感から、無人カートの開発を進めています。
今回は、無人カートがどこまで実用化されているのか、その実情と、どのような使いどころに投入されているのかをご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 076
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