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第168回 ステイキングとブロックチェーン その2
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▼今回の記事
まず今回は、ビットコインを中心とした仮想通貨全般に関する動向を紹介する。状況が非常に急速に動いている。次に、ステイキングの分野でいま注目されているプロジェクトを紹介する。
▼ビットコインを中心とした仮想通貨を巡る状況
それでは今回の最初のテーマを書く。ビットコインを中心とした仮想通貨の状況である。いま堰を切ったようにさまざまな出来事が起こり、仮想通貨の将来を左右するトレンドが形成されようとしている。否定的な出来事もあれば肯定的な出来事もある。それらを概観して見よう。
●身の代金の奪還
まずはビットコインの相場に対して否定的な内容のニュースからだ。
6月7日、米司法省はアメリカで最大級のパイプラインにサイバー攻撃を仕掛けて一時的に操業停止に追い込み、仮想通貨のビットコインで身代金を奪ったロシア系のハッカー集団から「大半を取り戻した」と発表した。西部カリフォルニア州の連邦地裁に提出した文書によると、約230万ドル(約2億5千万円)相当を差し押さえた。
これは、どんなに厳重に管理されている仮想通貨の保管所やウオレットでさえも、十分な技術的な能力のある個人や組織であれば、これをハッキングし、資産を盗むことが可能であることを示した。すでに何年も前から、仮想通貨の取引所は毎年のようにハッキングされて資産の盗難が続いていたが、最近ではセキュリティーが強化されたこともあり、そのようなことは以前よりも起こりにくくなっていた。
だが今回の出来事は、ハッキングの可能性を改めて認識させ、仮想通貨の資産としての安全性に疑問を呈することになった。その結果、ビットコインを中心とした仮想通貨の相場は下落した。
●新たなバーゼル規制
6月10日、世界の銀行を規制する共通のルールを設定している「バーゼル銀行監督委員会」は、仮想通貨を扱う銀行に対する規制案を発表した。銀行がビットコインなどの仮想通貨を保有する場合、損失の全てを埋め合わせる資本を準備するべきとした。
「バーゼル委員会」は規制案で、暗号資産を2つのカテゴリーに分類した。1つ目は米ドルなどの法定通貨に連動するステーブルコインや、デジタルトークン化された資産クラスが含まれる。
2つ目のカテゴリーは、ビットコインや他の類似した暗号資産で、1つ目のカテゴリーよりも高いリスクが伴うと指摘。規制案では、この2つ目のカテゴリーに属する暗号資産のリスクウェートを1250%とし、ビットコインなどを保有する銀行は、その額面価格に値する資本を持つ必要があるとした。
やはりこの規制で重要になるのは、2つ目のカテゴリーだ。これはどういうことかというと、銀行がビットコインのような暗号資産を保有する場合、全額を失うリスクがあるので、保有している額を25%上回る安定資産を別に保有しなければならなという規制だ。この規制は、銀行がビットコインを保有することを実質的に困難にすることは間違いない。
いまのところ、ビットコインなどの仮想通貨を資産として保有する銀行はあまりない。だがこの規制が、ビットコインなどの既存の仮想通貨の相場を下落させる要因にもなるだろう。仮想通貨の相場にとってはマイナスのニュースだ。
●エルサルバドル、パナマ、パラグアイの動き
しかし、このようなマイナスのニュースが続くなかでも、ビットコインの相場を上昇させる可能性のあるニュースも多い。前回の記事では、中南米のエルサルバドルが世界で初めてビットコインを法定通貨にするという情報を紹介したが、これを可能にする法案はエルサルバドル議会を通過し、ビットコインが正式の法定通貨として承認された。3カ月の猶予機関の後、本格的に導入される見通しだ。
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