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言いすぎか!!
弁護士北村晴男 本音を語る
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Vol.120
2021.6.30
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目次
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【1】 『「対中非難決議」見送り
日本人の良心は、どこに行ったのか』
【2】 『北村晴男の"素"』
【3】 『番組出演予定
イベント情報』
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【1】 『「対中非難決議」見送り
日本人の良心は、どこに行ったのか』
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「対中非難決議」の今国会での採択が見送られた(6月15日)。その顛末(てんまつ)を、有本香さんが夕刊フジのコラム「以読制毒」で「誰が対中非難決議を潰したか」と題し、暴露した(17日)。
「対中非難決議への承認サインを自民党の下村博文政調会長と古屋圭司元国家公安委員長らが二階俊博幹事長に求めた。二階さんがサインをしようとしたところ、林幹雄幹事長代理が、来月の都議選での公明党との連携を考えて承認をしぶり、最後に『こういうの(ウイグル問題)、あんまり興味ないんだ』と言い放った」という。
このコラムが夕刊フジに出るとネット上でも大騒ぎに。すると、翌18日、自民党幹事長室から有本さん宛に文書が届いた。
私は「有本さんはこんな圧力にはビクともしないでしょう。しかし、マスコミには、詳細を検証して表現の自由の為に、必要なら徹底的に幹事長を批判する義務がある」とツイート。
なので、有本さんに届いた文書がどういうものなのか、すごく興味があった。
幹事長室から届いた文書の中身は?
その3日後の21日(月)夕方、20時からの「百田尚樹チャンネル生放送」(ニコニコチャンネル)に出演する前に、百田さんと私と、有本さんの3人で食事をすることになった。
しばらく雑談した後、我慢できずに「幹事長室からきた文書って、何が書いてあるんですか?」と聞いてみた。
有本さんは、「これですよ」と言って見せてくれた。まず「通知書」という題。
通常、通知書の中身は、損害賠償請求、あるいは警告など。事実が違うから訂正を求めますとか、訂正をしてくれなければ損害賠償請求訴訟を起こしますとか、あるいは、林幹事長代理に対する名誉毀損だから名誉回復のための処置をしなさいとか、何らかの要求が記(しる)されている。
次に、「差出人」が「自民党幹事長室」とだけなっていて、氏名がない。自民党幹事長室から有本香様となっている。発信者が不明だ。
内容は、三項目からなっている。
まず、「貴殿は『誰が対中非難決議を潰したか』との見出しのもとに、我が党の政調会長が対中非難決議文に二階幹事長の(承認の)サインを求めようとしたところ、林幹事長代理がサインするのを止め、『こういうの、あまり興味ないんだ』と言い放ったとして、対中非難決議案を潰したのは二階幹事長や林幹事長代理であるとの記事を掲載しました」。
フムフム、その通り。
次に、「林幹事長代理が『こういうの(ウイグル問題)、あんまり興味ないんだ』と発言した事実はありません」。
有本さんによると、「興味がない」発言は、その場にいた複数の国会議員などに聞いた事実だという。
そして、いよいよ結論。
「また、貴殿自身も本件記事に書いてあるように、来月に迫った東京都議選で、いかに公明党と連携するかということも踏まえ、二幹二国(両党の幹事長2人、国体委員長2人)で協議して対応を決めるものであり、林幹事長代理らが潰したとの貴殿の評価は短絡的と言わざるを得ません」
フムフム、「それで? いよいよ結論か?」と、我が耳に全神経を集中した。
「以上」
えっ? ズッコケて、イスから落ちそうになった。
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日本の憲政史上の汚点
先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は、中国を強く牽制する首脳声明を採択して閉幕した。抑(おさ)えに抑えた対中非難ではあったが、菅義偉総理もそれに言及している。
さらに、対中非難決議は立憲民主党も共産党も賛成している。だが、自民、公明両党は決められない。対中非難決議は法的拘束力もなく、一種の決意表明だ。しかも「中国」という国名すら入っていない。こんな吹けば飛ぶような決議さえ出せなかったのは、日本の憲政史上の汚点だ。
自民党の森山裕国対委員長は「公明党の議論が進んでいない」と述べ、公明党の北側一雄副代表は「自民党がまず党内で一致しないといけないが、最終的にそこまで至らなかった」と語り、国会に提出できなかった責任を互いに相手になすりつける。
中国共産党との親しい関係を築いてきた公明党。だが今回の件は、母体である創価学会からも非難の声が出ているという。学会員の立場になれば、人権侵害行為を非難できない公明党は、「共産党よりもひどいじゃないか」という話。
自民党内部にも「公明党は中国と強いパイプがあるから」と言う人がいるらしいが、いくら強いパイプがあっても、人権侵害を止めさせることなど100%できず、単なる幇間(たいこ)持ちがせいぜい。何を遠慮しているのか、不明だ。
百田尚樹チャンネルで、有本さんから「何でこんなことになってるんでしょうかね」と聞かれた。まったく根拠のない推測ではあるが、いくつか考えられることを述べてみよう。
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