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中共100周年は「慶事」か、始まった賃下げ 迫りくる「中所得国のワナ」

勝又壽良の経済時評
  • 2021/07/01
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合理的思考が苦手の中国 弱い経済基盤に起ること 解決法は賃下げしかない 儚く消える「中華の夢」 今日7月1日は、中国共産党(中共)創立100周年である。中国では、習近平国家主席の威光を一段と高めるべく、数多くのイベントが行なわれる。誠におめでたい日だ。日本からは、小沢一郎議員が祝電を送ったという。民主党政権時代、中国と親密な関係を築いていたから当然であろう。 冒頭から恐縮なのだが、中国はこれからも順調に発展し続けられるだろうか。一人当たり名目GDPは、1万0484ドル(2020年)になった。計画では、2035年にこれを倍の約2万ドルに押し上げるとしている。常識的に言えば、15年も時間を掛ければ倍になるだろうと思いがちである。実は、ここに大きな落し穴がある。 世界経済の発展史を見ると、多くの国がここまで発展して来た後、挫折しているのである。詳細は後半で取り上げる。挫折している共通の理由は、安い人件費で雇える労働力が枯渇すると、どこの国でもそこで経済成長が頓挫していることである。アジアで、この限界を超えて発展した国は、日本・韓国・台湾・香港・シンガポールだけである。他は、労働力の枯渇が経済を停滞局面へ追い込んでいる。 韓国と台湾は、日本の植民地であった。香港とシンガポールは、英国の植民地だ。先進国による植民地統治が、前記4ヶ国に工業近代化への助走を付けさせたと言えよう。中国の場合、もともと専制主義国家であり、それが共産主義国家へ二段階の飛躍(封建主義と資本主義を経験していない)をした。それだけに、工業近代化への技術的・制度的な経験ゼロという決定的なマイナス要因を抱えている。中国経済の発展において、大きなブレーキになろう。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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