ドクター畑地の診察室96.2021.7.4.
現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。
世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信!
https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/
三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる
現在、松阪市民病院統括副院長兼呼吸器センター長
診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当
https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php
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吸入薬 PART1
今回は“吸入薬”のお話しをさせていただきます。吸入薬を使用する呼吸器疾患は、主として“喘息”と“COPD”です。まずは喘息の吸入薬の話からしていきます。
私が研修医になったばかりの頃、公害病として喘息が有名(四日市喘息)な四日市の病院で研修したことがあり、夜間の救急外来を訪れる患者さんの多くは喘息患者さんでした。発作が改善せず来院した喘息患者さんに対して、短時間作用型のすぐ効果のある気管支拡張剤をネブライザーで吸入させたり、気管支拡張剤や吸入ステロイドの点滴を行ったりもしましたが、それだけではなかなかコントロールができず、入院する患者さんも非常に多かったと記憶しています。
ところが、最近の救急外来では喘息患者さんをあまり見かけなくなりました。これはひとえに吸入ステロイドが治療に使われるようになったおかげです。この30年で1番死亡者が減った病気は“喘息”と言っても過言ではないと思います。吸入ステロイドの販売額増加と反比例して、喘息死の患者さんが減っていることを実感しています。
ステロイドと言うと副作用などが心配されるところですが、常用量の吸入ステロイドでは、全身への副作用は内服や点滴で用いられるステロイドと比べほとんど無視できるレベルなのです。
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