…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…
第172回 ステーブルコインとブロックチェーン その2
…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…
▼今回の記事
まず今回は、ビットコインを中心とした仮想通貨の最新情勢をお伝えする。次に、メインテーマとして、ステーブルコインの分野で注目されているプロジェクトを一挙に紹介する。
▼仮想通貨を巡る状況
今週はビットコインを中心とした仮想通貨の相場は比較的に安定している。ビットコインは350万円台後半から370万円台で推移している。今後、現状を維持するのではないかとの観測が強い。しばらくはこの水準に止まる可能性が高い。
●バイナンスへの規制
しかしながら、6月末からビットコインの暴落の引き金となる可能性のある出来事が起こっていた。それは世界最大の取引所、「バイナンス」に対する各国の規制強化、ないしは警告である。
まず日本の金融庁は、2018年に続き2度目の警告を「バイナンス」に出した。日本の法律では金融サービスを提供するためには金融庁の登録が必要で、また仮想通貨の取引を行う場合も金融庁の認可が必要だ。「バイナンス」はそうした認可を得ずに取引していたので、法令の順守を求められたのだ。
さらに6月26日には、イギリスの金融規制当局である「FCA」は、「バイナンス」にイギリス国内でのサービスの提供を禁止すると発表した。またシンガポールの金融規制当局も、「バイナンス」のシンガポール現地法人に対して厳重に監視するとした。オフショア地域でタックスヘイブンのケイマン諸島は、「バイナンス」に対して営業ライセンスを取得していない事実を公表している。また、7月2日にはタイの金融規制当局である「SEC」も、「バイナンス」は無許可で営業しているとして法的に提訴するとした。
「バイナンス」にはこのように各国の警告や規制があいつでいるが、その理由は以下の2つだ。
1)「バイナンス」には本社が存在しない。
「バイナンス」は分散型システムに基づく取引所だ。したがって「バイナンス」には責任主体となり得るような本社が存在していない。金融規制当局は、これを規制逃れの目的で行っているとして疑っている。
2)マネーロンダリングの容易さ
「バイナンス」では、顧客の個人情報を提出することなくだれでも簡単に口座が作れてしまう。このため「バイナンス」は様々な犯罪組織にマネーロンダリングの格好の方法として使われる恐れがあう。1989年に世界的にマネーロンダリングを規制する目的で設置された国際機関、「FATF(金融活動作業部会)」は、各国の規制当局に対して「バイナンス」を監視するように要請した。
こうした厳しい規制が「バイナンス」に向けられたので、今後「バイナンス」は各国で法令遵守が求められることは間違いない動きになっている。
これに対して「バイナンス」のCEO、チャンペン・ザオ(通称CZ)は、「特に仮想通貨のような新しい分野では、コンプライアンス(法令遵守)は旅のようなものだ。この業界にはまだ多くの不確実性がある。成長に伴い、より複雑で大きな責任が生じることも認識している」と発言し、規制当局と積極的に強力する姿勢を示した。
●意外に堅調なビットコイン相場
そうした状況だったので、最終的に「バイナンス」は各国で取引禁止となるのではないかという懸念が広まった。「バイナンス」は世界最大規模の取引所である。もし本当の取引禁止となれば、ビットコインを中心とした仮想通貨の相場には、大きな影響があってもおかしくない。ビットコインなどの大きな下げが予想された。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)