「東京五輪は負のレガシー」
25年くらい世田谷区のニコタマに住んでいたあたしにとって、何よりの憩いの場は目の前の多摩川でしたが、あたしは競馬が大好きなので、原チャリで10分も掛からずに行くことができる用賀の「馬事公苑(ばじこうえん)」にもチョコチョコと行っていました。「馬事公苑」はJRA(日本中央競馬会)が所有する馬術競技の施設ですが、誰でも無料で入れる上に、約18ヘクタール、東京ドーム約4個分もの広大な敷地の奥には自然林が広がり、散策コースや子どもの遊び場もあるので、周辺の人々の憩いの場になっていました。
どうして「なっていました」と過去形で書いたのかと言うと、この「馬事公苑」が東京五輪の馬術競技の会場になってしまったため、2016年いっぱいで閉鎖され、以来、ずっと改修工事が行なわれて来たからです。5年もかけて行われた改修工事の内容は、メインアリーナ、インドアアリーナ、メインオフィス、管理センター、審判棟、厩舎(きゅうしゃ)などの新設や建て替えから、馬場の砂の全面入れ替えに至るまで、とても規模の大きなものでした。
しかし、2017年に工事が始まると、周辺住民たちから不安の声が聞かれるようになったのです。それは、半世紀以上に渡って市民に憩いを与えてくれた美しい自然林の木々が、無惨にも次々と伐り倒されて行ったからです。工事中は、関係者以外は中には入れませんし、中を覗かれないように周囲は目隠しされていました。しかし、その隙間から中を覗くと、20メートル以上もある立派な木々が容赦なく伐採され続けていたのです。
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