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官民の本質的な違い‐官とのコミュニケーションのための必修科目‐

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2021/07/15
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役所をやめてから、千正は2年近く、西川は4か月近くたちました。官僚時代から、民間の方とは積極的に対話をしてきて、官民の違いを強く意識してきましたが、自分たちが実際に民間の立場に立ってみて、よりその違いを深く感じる日々です。 だからこそ、両方を知る自分たちは、翻訳機能を果たしていかなければという思いを、日々強くしています。 民間の皆さんが、役所の人とコミュニケーションを取る中で、 「何を言っているか理解できない」 「なんで、こんなに方針を変えるのをいやがるんだろう」 「動きが遅いな」 「組織や仕事のやり方が硬直的で非効率だ」 などと思ってしまうこともあるのではないでしょうか。 あるいは、新卒で霞が関に入った方や、自治体や民間企業などから出向という形で霞が関に飛び込んだ方、最近増えてきている中途採用で入った方なども、霞が関の仕事のやり方や文化に戸惑うことも多いのではないでしょうか。 確かに、霞が関には、旧態依然としたやり方を変えにくい面があります。官民問わずですが、歴史のある巨大組織、かつ、年功序列の組織で外部登用の少ない組織の場合、昔のやり方に慣れた人が意思決定をする権限を持っている幹部層に多くいて、仕事のやり方や組織文化を変えにくいという共通の課題があります。 時代に合わなくなった仕事のやり方や組織文化は、どんどん変えていかないといけません。 そのためにも、霞が関は民間との交流を増やす仕組みをどんどん導入しています。官民交流や国家公務員の兼業、中途採用や出戻りも増えています。業務時間の中で、民間との自発的な交流を認める省庁も出てきています。 AIや自動運転などの新しいテクノロジーへの対応、気候変動、孤独対策など民間の力を活かさないといけない政策課題も増えています。デジタル化などによる公的サービスの効率化、政策情報の正確な伝達なども、民間にあるノウハウを、どんどん取り入れていかないとうまくいきません。 民間側からも、新しいビジネスを進めようとしたり、ある程度の規模になって大きく拡大したりするフェーズになると、どうしても規制など政策の壁にぶつかることがあります。政策との連携の必要性も高まっていて、いわゆる政府渉外のような機能を強化している企業もたくさんあります。 企業以外にも、社会課題を解決しようとするNPOなどのソーシャルセクターの方々の中にも、政策への働きかけを強化している人たちも増えてきていると感じます。 暮らしやすく、活力のある社会を創り続けていくためにも、今ほど民間からの政策提案能力が求められている時代はないのではないかと思います。 もちろん、霞が関が旧態依然とした仕事のやり方や文化を変える必要は間違いなくあります。僕たちが霞が関の改革の活動をしているのも、そういう理由です。 ただ、これは断言できますが、霞が関が変わったとしても、民間と全く同じようにはなりません。 それは、仕事の本質が大きく異なるからです。 官民が対話や協働を進めるに当たっては、この本質的な違いを双方が理解しないと、絶対にうまくいきません。

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