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高野孟のTHE JOURNAL Vol.507 2021.7.19
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1108》
今更ですが「マスク」についてもう一度/西村秀一医師
の話に耳を傾けよう!
【2】《CONFAB No.507》
閑中忙話(7月11日~17日)
【3】《FLASH No.419》
海上自衛隊OBが論文を発表 自衛隊サイドから出
てきた「沖縄の海兵隊無用論」/日刊ゲンダイ
7月15日付「永田町の裏を読む」から転載
【4】《SHASIN No.443》付属写真館
■■ INSIDER No.1108 2021/07/19 ■■■■■■■■■
今更ですが「マスク」についてもう一度/西村秀一医師
の話に耳を傾けよう!
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IOCのバッハ会長が着けているマスクは、「N95」クラ
スの医療用の高性能マスクのようだが、これは感染リス
クが極めて高い医療現場で医師や看護師などが用いるも
ので、息苦しくて長時間にわたり用いることは難しい。
患者や一般人には、医療用のサージカルマスクや普通の
不織布マスクがむしろ適している。バッハがN95を着け
ているのは、自分は最高級のものを選ぶのだという見栄
のためかもしれないが、意味のないことではある。
●布やウレタンはダメ
西村秀一=国立仙台医療センター・ウイルスセンター
長は、米CDCや日本の感染症研究所で研究に従事した
後、2000年から現職にあるインフルエンザはじめ呼吸器
系ウイルス感染症対策の第一人者で、マスクについて
「これが意外に奥深い。何が良くて何がいけないのか、
正しい知識を持って、ぜひマスクの達人になるように」
と語っている(『もうだまされない 新型コロナの大誤
解』〔幻冬社、21年6月刊〕)。
彼が行った実験によると、素材ごとの飛沫防止効果の
違いは図〔写真
https://bit.ly/3hO6tgJ 〕のとおりで
ある(同書P.124)。
N95は確かに、最小の0.3~0.5μm〔マイクロメートル
は1000の1ミリメートル〕の粒子でも95%を防ぐことが
できるのに対し、サージカルマスクは、その最小粒子で
はほんの少し劣るものの他は同等かそれ以上の性能があ
る。驚くのは一般的な不織布で、最小粒子ではさらに劣
って90%程度の防御率になるものの、全体としてはサー
ジカルマスクに近い性能を持っているということであ
る。この3者では「大きな飛沫粒子を除去する能力に
は、あまり差がみられなかった。小さな粒子ではやや差
は見られたが、それでも、きちんとした不織布マスクで
あれば、一般の人の日常生活なら十分と思われる性能を
持っていることが明らかになった」(西村、P,125)。
もっと驚くのは、それ以外の、布(ガーゼ)マスク、
ポリエステルマスク、ポリウレタンマスクの性能の低さ
である。ポリウレタンに至っては「富岳のシミュレーシ
ョン結果では、吐き出し飛沫量で50%、吸い込み飛沫量
で30~40%を除去するとされていたが、私の研究室の実
験では、5μmより小さい粒子は1%以下の除去率しか
なかった」ので、「自分を守るにはまったく無力で、周
囲を守るのにも多分ほとんど役に立たない」。使い道
は? 1つだけあって、不織布マスクの上から着けて密
着性を補強することである。
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