メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【Vol.387】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「排他的マーケティングはオワコン」  東京五輪のサッカーの試合を学校ぐるみで観戦する際に、茨城県のある学 校が「飲料はできるだけコカ・コーラ製で」などと保護者側に伝えていたこ とが分かったそうです。  まあ、コカコーラとしては、巨額のスポンサー料を払っているので、そう した権限があるということなのでしょうが、2つ大きな疑問があります。  1つは、そのような「ネガティブで排他的なマーケティング」を行うとい うのでは、ブランド価値を毀損してしまうというのが、現代における常識だ と思います。もっと言えば反社会的ですらあります。  ですから、仮にこうした行為について、コカコーラ社が契約履行を現場に 求めているのであれば、これは大きな勘違いであり、自爆行動としか言いよ うがありません。五輪委というのは、ビジネスなど理解しない人々なので、 脇へ置いておくとして、それを分かった上で、仕切っているのだとしたら、 広告代理店というのは何をやっているのかということです。  2つ目は、日本における権利の関係です。日本市場における、コーラの場 合は、アトランタの本社が原液を厳格に管理しています。日本法人について は、ボトリング、とかボトラーズと言った名前で、輸入した原液を薄めて詰 めて売るだけのビジネスというスキームが本来でした。勿論、お茶や缶コー ヒーなど日本独自のプロダクトもあるわけですが、商標権などはアトランタ 本社が厳しく握っているはずです。  ということは、五輪のワールドワイドという規模でのスポンサーシップを、 アトランタが買って、それを東京に適用している場合に、1のようなオワコ ンの排他的マーケティングをアトランタが日本に押し付けている可能性があ ります。つまり、アトランタのご本社の意向で、日本での顧客離れを起こし かねない自爆営業をやっているという構図です。各日本法人が納得していれ ばいい(と言っても、馬鹿なのには変わりはありませんが)ですが、そうで なければ治外法権であり、日本における公正取引を阻害していると思うので すが、どうでしょうか?個人的には、違法性すら感じるのですが。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日