「日本のテレワーク、どうして生産性が上がらないのか?」
コンピュータ製造販売の中国企業レノボによれば、日本では「テレワーク
が生産性を低下させている」というのは顕著なのだそうです。同社が202
0年に世界各国で実施した調査によると、「テレワークでは、オフィス勤務
時よりも生産性が下がる」という回答結果は日本だけが「40%」と突出し
ており、他の主要国は全て10%台だったそうです。
https://www.sbbit.jp/article/cont1/65785
アメリカでは、コロナ禍の前からテック系の企業を中心にテレワークは浸
透していました。そんな中で、例えば多くの企業の経営者は「テレワークが
増えすぎて、オフィスに出社するのが減って困る」とボヤいていたのですが、
それは「テレワークは生産性が高すぎる」という問題意識でした。
生産性が高いのはいいことですが、多くの経営者(例えば2013年のヤ
フーにおけるメイヤーCEOなど)が指摘していたのは「テレワークでは、
目先のタスクがどんどん効率的に処理されるばかりで、無駄な会話、無駄な
試行錯誤が切り捨てられる」という危機感でした。つまり、在宅だと実務は
ブンブン回るのですが、同僚とのボヤキとか将来の夢、荒唐無稽な新発想な
どは全く省みられないというのです。
その一方で、日本の場合は全く状況が違うようです。テレワークだと、実
務がブンブン回りすぎるのではなく、反対に実務が回らないのです。
その日本でも、2020年にコロナ禍が始まった際には、多くの企業がテ
レワークの試行錯誤を行なっていました。その際には、テレワークに慣れな
い上司が問題だというような指摘がされていたのです。ですが、それから1
年を経て、現在は、若手の社員が「テレワークでは実務が回らない」として
ボヤいています。
現在は、30代以下のコロナ感染が大問題になっていますが、テックに親
和性のある世代のはずの若手が、どうして「テレワークではダメ」で出社を
強いられているのかというと、上司の目があるから出社するというよりも、
テレワークでは実務が進まないので、出社するというようになっているよう
です。
どうしてなのでしょうか?
この問題について、最初に紹介したレノボ社の調査では「(日本の場合)
回答者の46%が「同僚との対面コミュニケーションがなくなったことで、
ストレスや不安を感じる」と答えたそうです。
この「対面コミュニケーション」が必要という感覚ですが、例えばその原
因について日本語の特質を挙げて説明することは可能です。日本語というの
は、高コンテキスト言語であり、つまり話者と聴者が事前に情報共有してい
る場合には、どんどん言語を省略して非言語の表情やニュアンスなどを混ぜ
ながら複雑なコミュニケーションを展開する、そのような特徴があるのは事
実だからです。
だったら、日本語をやめて英語を共通語にするとか、あるいは、同じ日本
語でも、少し古い表現にして例えばメール(スラックなどでもいいです)で
部下から上司に「甲案、機構簡素なりと言えども運用に難アリ。乙案を上策
とす」と意見具申したら、上司は「貴職の見解は先の技術資料と併せて説得
力十分なり、諒とす」などというように、辛口でニュアンスは最小限、事実
とロジック優先でやればいいなどとも思うのですが、どうでしょうか?
実は、そこまで思い詰める必要はないように思います。というのは、問題
の本質は日本語ではないからです。(続く)
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