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第129号 黒い雨訴訟と国の戦争責任/時代錯誤の東京オリンピック/続・水着/デルタ株 VS シロタ株

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  • 2021/08/04
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「黒い雨訴訟と国の戦争責任」 この第129号の配信日は8月4日(水)なので、明後日の8月6日は「広島原爆の日」、5日後の8月9日は「長崎原爆の日」です。そこで今回は、7月29日に高裁判決が確定したばかりの「黒い雨訴訟」について取り上げようと思います。 あたしの母さんのお父さん、ようするにあたしのおじいちゃんは、太平洋戦争末期、国に召集されて、兵士として南の島に連れて行かれ、銃弾も食料も医療品も補給されない「国から見捨てられた状況」の中で「餓死」しました。当時、おばあちゃんはおじいちゃんと結婚したばかりで、おばあちゃんのお腹の中には母さんがいました。おばあちゃんは1人で母さんを産みましたが、その直後、東京大空襲が起こり、おばあちゃんは母さんを抱いて猛火の中を逃げ惑い、奇跡的に一命を取り留めました。 おばあちゃんは家も家財道具もすべてを失いましたが、夫が「戦死」したということで、戦後、おばあちゃんにはわずかな「遺族年金」が支給されることになりました。しかし、それだけではとても生活などできないので、おばあちゃんは和裁の技術を生かして必死に働き、女手ひとつで母さんを育てました。そのため、あたしの母さんは自分のお父さんに抱かれたことが一度もなく、お父さんの顔もたった1枚しかないモノクロ写真でしか知らないのです。 あたしのおじいちゃんは、多くの仲間とともに、南の島で「餓死」しました。敵に殺されたのではなく、日本政府に殺されたのです。しかし、戦争責任を認めたくない日本政府は、自分たちが見殺しにした数えきれないほどの兵士を「御国のために立派に散った英霊」などと祀り上げ、雀の涙ほどの「遺族年金」を支給することで、ひとことの謝罪もせずにチャラにしたのです。そのため、あたしのおばあちゃんは亡くなるまで、毎年8月15日を迎えるたびに「あの人は御国に殺された‥‥」と言って涙を流していました。 それでも、おじいちゃんが「戦死」と認定されて、わずかな「遺族年金」が支給された我が家は、まだマシでした。国が始めた戦争で多くの国民が犠牲になったのに、日本政府は未だに犠牲者や遺族にひとことも謝罪せず、賠償や補償を拒否し続けているからです。日本政府が一定の補償的支援を行なっているのは、あくまでも徴兵された兵士に対する事例のみなので、東京や大阪を始めとした全国各地の空襲の犠牲者も、広島と長崎の原爆の犠牲者も、民間人の犠牲者や遺族はすべて「泣き寝入り状態」のままなのです。

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