FRBの信任が試される半年
「インフレ高進下の緩和持続」
FRB(米連邦準備制度理事会)は今、非常識に挑戦しています。つまり、現実にインフレ率が急騰している中でも、これに目をつぶり、大規模緩和を続けると言っています。一部に不安の声はあるものの、市場の多くはこのFRBの判断を信じ、歓迎しています。FRBは現在のインフレ急騰は予想されたもので、一時的で、今後数か月のうちに和らぐと見ています。
通常であれば、インフレ目標を上回るインフレが予想されるようになると、インフレが顕在化する前にあらかじめ緩和にブレーキをかけます。この対応が後手に回ると、それだけ後になってインフレを抑えるための引き締めの規模が大きくなり、経済に余計負担となるからです。しかし、今回はすでに目標をはっきり上回るインフレ高進を目にしながら、あえてまだ緩和支援を続けると言っています。
この背景には、それだけ新型コロナで米国経済が大きな打撃を受け、FRBのミッションの1つである最大雇用が回復していないことがあります。しかも、これまで長い間インフレ率が目標の2%を下回る状況が続いたので、多少これを上回るインフレが続いても、市場が2%のインフレ期待を持つにはむしろ都合がよい、という言い方もしています。
しかし、FRBのパウエル議長には以下のような2つの挑戦が待ち受けています。この挑戦を見事クリアしないと、「FRBとは戦うな」という市場の信任を揺るがすことにもなりかねません。それだけ責任重大ですが、来年任期を迎えるパウエル議長にとってもこの半年は大きな挑戦の時期となります。
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