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高野孟のTHE JOURNAL Vol.511 2021.8.16
※毎週月曜日発行
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【1】《INSIDER No.1112》
米バイデン政権の“命取り”になるか? アフガニスタ
ン撤退/コロナ禍再燃、議会工作不調、プラス認知症疑
惑も……
【2】《CONFAB No.511》閑中忙話(8月8日~14日)
【3】《FLASH No.423》
大手主要各紙は「メダル最多」と大ハシャギだが…能天
気に喜んではいられない/日刊ゲンダイ7月29日付「永
田町の裏を読む」から転載
【4】《SHASIN No.446》付属写真館
■■ INSIDER No.1112 2021/08/16 ■■■■■■■■■
米バイデン政権の“命取り”になるか? アフガニスタ
ン撤退/コロナ禍再燃/議会工作不調/プラス認知症疑
惑も……
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米政府は8月12日に、アフガニスタンの首都カブール
に3000人の海兵隊を派遣し、以前から駐留している650
人の兵員と合わせて今月末までの米大使館職員らの撤収
の安全確保に当たらせることにした。が、その2日後の
14日にはさらに1000人を追加投入すると発表。イスラム
原理主義武装集団=タリバンが12日から13日にかけ、同
国第3の都市ヘラートと第2の都市カンダハルを陥落さ
せ、たちまち首都に迫る勢いであることに慌てふためい
た措置である。
大使館員には、機密書類や星条旗を焼却せよとの指示
も出ているというから、46年前の4月30日のベトナム戦
争終結の日、サイゴン(現ホーチミン)市の米大使館か
ら兵隊も職員も逃げ遅れた民間人や対米協力者だったベ
トナム人も、我先にと軍用ヘリにしがみついて脱出した
時と同様のパニック状態が始まっていると見て差し支え
ない。
それで最後まで残留した米国人の命は損なわれずに済
むかもしれないが、そうやって米国が何もかも放ったら
かしにして出て行った後のアフガニスタンは、2001年10
月7日の米軍による侵攻開始以前と同様のタリバンの天
下に戻るだけのことで、それによってアフガン国民の安
全、周辺地域の安定、国際的なテロとの戦いの前進の上
で何が起こるか分からない。
いいことが起きる兆候は何もなく、それどころか、昔
と同じく全土の9割を支配するパシュトゥン族のタリバ
ン、米国の傀儡であるガニ大統領の貧弱な政府と軍隊、
反タリバンの北部同盟など他の軍閥ーーの3者対立構図
が何も変わらないままでは、たちまちタリバンがカブー
ルを制圧して政府が崩壊し、北部同盟などが地方で抵抗
を続けるという姿になることは目に見えている。とする
と、「20年の年月、1兆ドルの戦費、2万3170人の米兵
死傷者を費やした戦争を終わらせた」ことを来年の米中
間選挙に向けてレガシーとして宣伝したかったバイデン
の打算は、とんでもなく甘いものだったということにな
る。
●トランプが達成したドーハ合意
アフガニスタン戦争の終結を模索したのはオバマ元大
統領だが、具体的に取り組んだのはトランプ前大統領だ
った。米国務省とタリバンとの紆余曲折を経た折衝の
末、2020年2月29日にカタールの首都ドーハで和平合意
の署名が行われた。
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