在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説 大澤 裕
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1. アフガンで中国は何をするか?
2. 世界のジハード主義者を活気づかせるタリバン勝利
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1.アフガンで中国は何をするか?
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米国のアフガン撤退で、中国の影響力が増大するという予想があります。
それはどれぐらい真実なのですしょうか? ニューヨークタイムズの8月20日の記事「中国はアフガンの真空に入っていく準備ができているか?」を元に解説しましょう。
参考:
https://www.nytimes.com/2021/08/20/opinion/china-afghanistan-taliban.html?searchResultPosition=1
まず中国から見たアフガンの最大の関心事は「東トルキスタン・イスラム運動」(Eastern Turkistan Islamic Movement、略称ETIM)です。
これは中国から新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の分離独立を主張するイスラム過激派組織です。アフガニスタンにルーツを持ち2000年代にはタリバンやアルカイダの支援を受けていたと言われます。
当然、中国側はこれを「国家安全保障に対する直接的な脅威である」と重要視しています。
すでに先月7月にタリバンの共同創設者であるアブドゥル・バラダー氏と中国の王毅外相はこの問題について話あっています。そして中国側からは「タリバンが東トルキスタン・グループと完全に決別することを望む」と伝えています。
これに対してバラダー氏は、「タリバンは、いかなるグループにもアフガニスタンの領土を使って中国に有害な行為をさせない」と約束しています。
先月にはタリバン、中国とも首都カブール陥落が近いと予想していたでしょう。そのタイミングで両者が会って上記のようなことを合意しているのです
その「東トルキスタン・イスラム運動」以外においては中国とタリバンはウインウインの関係にあると言っていいでしょう。
実際この20年間、中国は政治的にはでしゃばらないもののアフガニスタンに数百万ドルの援助を行い、医療支援、病院、太陽光発電所などを提供し最終的にはアフガニスタンの最大の貿易相手国の一つとなっていました。
そしてタリバンは、カブールを占領する前から、中国のアフガニスタンへの投資を保護すると約束していました。
現時点(8月20日)で中国ははまだタリバンをアフガニスタンの新政府として正式に承認していませんが、「アフガニスタンの人々が独立して自分たちの運命を決定する権利を尊重する」「アフガニスタンとの友好的で協力的な関係を発展させる」とタリバンに友好的な声明を発表しています。
すでにタリバンと中国の間には阿吽の呼吸があるように見えます。
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