━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
高野孟のTHE JOURNAL Vol.512 2021.8.23
※毎週月曜日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】《INSIDER No.1113》
アフガン戦争を上手に終わらせることもできない米国の
お粗末/その背景には米国社会のクレージー体質の根深
さがある
【2】《CONFAB No.512》
閑中忙話(8月15日~21日)
【3】《FLASH No.424》
菅首相の思考の最大特徴は「希望的観測」という認知バ
イアス/日刊ゲンダイ8月19日付「永田町の裏を読む」
から転載
★付属写真館はお休みです。
■■ INSIDER No.1113 2021/08/23 ■■■■■■■■■
アフガン戦争を上手に終わらせることもできない米国の
お粗末/その背景には米国社会のクレージー体質の根深
さがある
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
バイデン米大統領は8月18日、米ABCニュースのイン
タビューで、8月末としていたアフガニスタン駐留米軍
の撤収期限を延長する可能性を示唆した。アフガンに滞
在する米国民全員を退避させるには「1日に5000~7000
人を輸送しなければならない」と説明した。
1日に5000人として8月19日から月末までの12日間に
計6万人、1日に7000人として8万4000人の「米国民」
が救出を待っているというのは本当なのか。そうだとす
れば、その人たちの安全を確保した上での退避計画を立
てていなかったというのはビックリ仰天だし、それ以上
に、米国民以外のアフガン人の対米協力者ーー米軍軍
属、通訳、大使館スタッフ、米系メディアのスタッフ、
運転手等々の恐らく数万~数十万人がタリバンによって
報復を受ける危険性についてほとんど何も考えていなか
ったというのは、信じられない程の間抜けさである。
どうしてこんなことになるのか米情報中枢に近い筋に
当たると、「お恥ずかしいとしか言いようがない。米政
府も現地機関も、米軍が撤退を開始しても、アフガン政
府と軍が少なくとも数カ月は踏ん張って、同政府とタリ
バンの間で和解政権を作る協議が始まるものと信じてい
た。ところが、アフガン政府のガニ大統領はたちまち夜
逃げしてしまい、米国が多額を注いだ同国軍もアッとい
う間に消滅した。すべてが想定外」と自らの見通しの余
りの甘さに呆然としている有様なのである。
ベトナム戦争の終末では、米軍兵士、大使館員等々を
退避させた後、13万人と言われたベトナム人対米協力者
の救出を行なった。が、それでも米国は責任を果たした
とは言えず、その後「ボートピープル」という形で100
万人を超えるベトナム人が命がけで祖国を脱出してその
8割は米国に亡命したのだった。軽度認知障害にあるバ
イデンがこのようなベトナム戦争終結の際の「撤退」の
難しさを知らなかったのは仕方がないとして、国務・国
防両省やCIAが全くの役立たずだったのは一体どうした
ことなのか。
「戦争国家」アメリカが、戦争を始めることはできて
も止めることができず、すべてを放ったらかして逃げ出
す無様な姿を晒しているのである。
●米国は正気を取り戻さないと
どうしてこんなことになるのか。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)