2021年 第 34 号
【長尾和宏の「痛くない死に方」】
こんばんは。長尾和宏です。
失われた二度目の夏が過ぎようとしています。
この2021年の日本において、「あ~!楽しい夏休みだった」
という人なんて、いないんじゃないのかな。
僕はもともと、この仕事についてからプライベートな夏休みを
しっかり取ったことなんて一度もなかったけれど、それでも、
自分が生まれた季節だということもあって、冬より夏がダンゼン
好きだし、たとえば、クリニックの屋上で、100人の我がスタ
フたちと、ビールを飲んだり、バーベキューをしたり。
もしくは、長年お付き合いしている在宅患者さんの家で、スイカ
を食べたり、花火を見たりして、毎年それなりに楽しい夏を送っ
てきた。
映画『痛い在宅医』を観てくれた人には、映画のラスト近くで、
末期がん患者役の宇崎竜童さん、奥さん役の大谷直子さん、そ
して主人公・河田医師を演じた柄本佑さん、訪問看護師役の、
余貴美子さんが、縁側で少しだけお酒を呑みながら一献する
シーンがある。僕もあの映画のなかで、大好きなシーンのひとつ。
あのシーンは、東京板橋区の、古い大きな一軒家で撮影した。
映画撮影用に貸し出している「若木の家」というスタジオだ。
2年前のちょうど今頃である。
あの花火のシーンのときは、僕も立ち会った。
庭の蛙がうるさくて、スタッフみんなで、庭に出て、蛙を黙ら
すのに必死だった。冷房もなく、みんなが必死で団扇を仰ぎな
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