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アブラキサン供給をめぐる噂(あくまでも噂です)

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室105.2021.9.5. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 現在、松阪市民病院統括副院長兼呼吸器センター長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php **************************************** アブラキサン供給をめぐる噂(あくまでも噂です) アブラキサンと言う抗癌剤があります。肺癌領域では非小細胞肺癌領域で多く使用される薬剤です。肺扁平上皮癌では1st Choiceで使用されることが多く、また、肺腺癌では主として初回化学療法の効果がなくなった際に使用されることが多い薬剤で、放射線治療との相性も良く、かなりの頻度で使用されています。実際、私が診察している患者さんでも、10人以上の患者さんがこの抗癌剤を使っています。さらに、この抗癌剤は肺癌領域だけではなく、消化器癌領域にでも使われているとのことで、非常に使い勝手が良い薬剤なのです。 このアブラキサンが突然供給されなくなり、日々診療で使用していた側としてはたまったものではありません。アブラキサンはアメリカで製造されているのですが、製造過程でアメリカのFDAの検査に合格しなかったとのことで、10月以降の供給が突然止まってしまいました。もともとアブラキサンはパクリタキセルと言う抗癌剤をもとに開発された薬剤なので、代わりの抗癌剤としては“パクリタキセル”が頭に思い浮かぶわけですが、アブラキサン供給停止のあおりを受けてパクリタキセルまでが供給困難となりました。 1番困ったのは、アブラキサンを使用して現在治療を行っている患者さんです。どうしても供給されなかった場合は、泣く泣く他の抗癌剤に切り替えるかもしくは治療を中止せざるを得なくなったからです。よく効いている抗癌剤が中止になると、今まで制御されていた癌が大きくなり、最悪の場合は命に関わる状況となってしまいます。 学会がいろいろ声明を出し、“アブラキサン使用患者さんはどのような患者さんを優先すべきか”“どのように使用方法を変化させていくのか”情報が錯綜している状況です。

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