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【Vol.392】冷泉彰彦のプリンストン通信『911テロ20周年+政局緊急特集』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「デジタル庁、目標は当然公務員とITコストの半減」  デジタル監の人事がどうこうと言う以前に、中央政府のIT化を進めるの であれば、目標設定が必要です。具体的には、2つあると思います。 「中央官庁の事務作業を10分の1にして、その結果として作業要員を10 分の1にする。その代わり、制度の運用精度向上と、制度の改革に要員を回 して、全体の削減は2分の1にする」 「無駄な電算機とソフトの費用を圧縮し、ランニングコストを現在の10分 の1にする。そのために現在のIT総コストの4割は強力な業務標準化と、 厳格に統一したDBによる統一システムの構築費に回す。結果的に全体とし てのITコストは2分の1にする」  というのがザックリした感触ではないでしょうか。結論から言えば、  デジタル庁の目的は、「国家公務員の半減と地方を含む政府のITコスト の半減」になるはずです。他の目標というのはあり得ません。民間の感覚で 言えば、既に2021年の現在では「半減」でも甘いくらいです。  コンピュータが官民合わせてほとんどの業務の改革に使用されるようにな って50年が経過しています。とりわけ改革の加速した90年代以降は、そ の効果が極めて明確に表れていますし、それが実現できない企業や組織は淘 汰されていきました。  非常に単純化して申し上げますが、デジタル化をするのは人力で行われて いた事務作業を機械化し、更に作業を徹底的に標準化することで機械化費用 自体も圧縮するのが目的です。ユーザーである国民の利便性は、その結果と して派生的に実現されるべきものです。間違っても、電算化による利便性を 追求するために、要員が増やされるとかコストが上乗せされるということは あってはなりません。  デジタル化に伴って要員が減らないとか、余計なコストがかかるという話 は人類の文明には「ない」のです。これはデジタル監が誰とか、総理が誰に なるというような話とは違って、大前提とも言えるようなものです。例えば、 家を建てるのなら屋根と壁を設けて雨風をしのぐ、船を造るなら少なくとも 浸水して沈没しないようにするというぐらい常識的なものです。  デジタル庁への期待を考えるのであれば、この点が大前提になります。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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