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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第444号2021.9.7配信分
●2040年からのバックキャストという発想
時代は混沌を深めているように見える。新型コロナウィルス(COVID-19)に
よるパンデミックは、それ以前の日常を忘れさせるように世界を覆い続けてい
る。やがて感染症の脅威は薄れ、世界中に立ち込めた閉塞状況も改善の方向に
向かう。だが、これまでにもおよそ20ヶ月の停滞があり、平穏を取り戻す収束
には少なくともあと1年は混乱を覚悟しなければならないだろう。
振り返ってみると、ミレニアムに沸いた21世紀の胎動から早20年。この間に
訪れた変化は凄まじい。当初予想しなかった物事が現実として目の前にある。
昭和の終焉と平成という新たな元号の切り替わりにバブル景気がやって来て、
1990年代というポストバブルと世紀末がミックスされたような誰もが下を向く
時代が訪れた。
私は当然自動車の世界に深く関わってきた。1989年は日本車のヴィンテージ
イヤーとして振り返られる。昭和は一週間しかなく残りが平成元年。前年から
の自粛ムードと好対照を成す記憶にも記録にも残るクルマが数多く輩出された。
天皇崩御という滅多に立ち会えない大きな節目は、己が長い歴史と伝統に生
きる日本人であることを否が応でも意識させられた。その意味で貴重な経験だ
ったと思うが、湧き上がる不思議な感情は明らかに他国にはないものだろう。
技術の進歩に伴って国際規格に比肩し得るクルマを手に入れた手応え。上手く
言えないが、日本語の枠組みでなければ共有し難い思いが募った。このことを
的確に説明できる人がいたら是非ご教示願いたい。
バブルの狂騒と崩壊に合わせるようにソビエトが終焉を迎え、ベルリンの壁
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