久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」
毎月第1-4 火曜日発行 vol.53後編 2021/09/14 発行
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4.久米のイチオシ
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試される映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」
こんな映画は今まで見たことありません。
こんな主役の組み合わせの映画なんてありえない、、、。
変な題名の映画だなあ。ただそれだけでこの映画を選びました。
サブスクのおかげで、年間100本以上、映画を見ているのですが、これだけの数をこなすには、いちいち厳選などしていられないのです。むしろ見たことない映画を見て新たな発見と感動をするには、こんないい加減な選び方が一番。もちろん、ハズレもありますが。
これはアタリ!いや最初はハズレだと思いました。なんというか想定外の映画なのでした。
まずひとりめの主人公がダウン症の青年だったのです。しかも老人ばかりの施設に入れられて、問題ばかり起こす天涯孤独の青年。プロレスが大好きで、往年の悪役レスラーのビデオを毎日飽きずに繰り返し見ては、同室の老人に呆れられています。
彼の立ち居振る舞いに、最初は心がざわつくかもしれません。ちょうどパラリンピックの競泳で、四肢が不自由な選手を見た時に感じるような、あのざわつきを。特に、私は吹き替え版で見たので、外見と年齢と言葉のギャップが心を直撃、一瞬どうしていいのかわからなくなりました。
でも、それも最初のうちだけです。パラリンピックの選手と同じで、あるいは美人や美男子と同じで、人間は見慣れれば、すぐにフツーに感じてしまう。そんな便利で単純な生き物なのです。
そして、もう一人の主人公。これが、健常者の働き盛りであるにも関わらず、ほとんどクズのような人間なのも驚きでした。兄の死後、カニ漁の漁業権も失い、漁ができずに途方に暮れる貧乏漁師。挙句のはてに、漁業権を奪われた相手に、とんでもないことをしでかす始末。
このおよそ、物語や映画の主人公になりえない二人が、不思議な縁で出会い、一緒に逃亡するロードムービーなのです。
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