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[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.515]世界史的な物差しで計った「9・11からの20年」

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.515 2021.9.13                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】《INSIDER No.1116》 世界史的な物差しで計った「9・11からの20年」/「冷 戦後」への不適応を起こしている米国に国際協力による 介護・治療を 【2】《CONFAB No.515》 閑中忙話(9月6日~12日) 【3】《FLASH No.427》 菅首相が突然の総裁選不出馬…その裏で何が起きていた のか/日刊ゲンダイ9月9日付「永田町の裏を読む」か ら転載 【4】《SHASINKAN No.448》付属写真館 ■■ INSIDER No.1116 2021/09/13 ■■■■■■■■■ 世界史的な物差しで計った「9・11からの20年」/「冷 戦後」への不適応を起こしている米国に国際協力による 介護・治療を ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  歯切れの良い論説で人気のあるジャーナリスト=ミシ ェル・ゴールドバーグが9月11日付「ニューヨーク・タ イムズ」に、「ビン・ラーディンはいかにして勝利した か」と題して要旨こう書いている。 ▼アル・カイーダは〔9・11同時多発テロの〕大勝利の 直後に崩壊した。しかし9・11が米国に与えた打撃は、 多くの悲観論者が予想したよりもずっと深刻だった。あ の攻撃、そしてそれへの我が国の対応が、衰退期への道 を開いた。それによって米国は「品格も何も失って半狂 乱になりながら消え去ろうとしている大国」という今日 の姿へと至ったのである。アメリカは、ムスリム世界に 民主主義を植え付けようとするという、世界中で不信を 買うような“聖戦”を発動し、その結果、自分自身の民 主主義をボロボロにしてしまった。 ▼今日、アル・カイーダは再建され、20年前よりも遥か に大きな組織となった。そして、2021年9月の米国はと 言えば、全くもって最悪の状態にある。20年前には我々 は、人を信じやすく、〔それゆえにしばしば〕ドジを踏 んだりする〔善良なる〕米国人だった。が、今や我々は 不機嫌で、疑い深く、はっきりした考えも持っていな い。 ▼ブッシュ子は2003年に「自由の前進はこの時代の使命 であり、我が国の使命である」と言った。しかし、攻撃 的な対外強硬策、人種差別、膨らむ被害妄想、拷問、秘 密監獄、〔心が〕壊れた兵士たち、死んだ市民たち、そ して打ち砕かれた帝国の夢……等々によって、自由は、 世界全体でも我が国内でも、どこか後ろの方に置き去り にされてしまった。 ▼スペンサー・アッカーマンは近著『テロルの支配/ 9・11時代はいかに米国を弱体化させトランプを生み出 させたのか』で、9・11の後にこの国を覆い尽くした狂 気と、ムスリム移民を入国させないと公約して大統領に なった人物の登場とは繋がっていると述べている。 ▼我々は、傲慢にも世界を作り変えるための戦争を発動 し、推計8兆ドルを費やしたというのに、結局、作り替 えられてしまったのは自分の方だった。9・11のあの 日、我々は何が失われたのか分かっていると思ったのだ が、実は何も分かっていなかったのだ……。 ●チャルマーズ・ジョンソンの予言

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