「柏崎刈羽原発、煙感知機設置のお粗末」
東京電力柏崎刈羽原発に関しては、2011年の東日本大震災で被災した
わけではありません。2004年の中越地震では多少被害が出ましたが、そ
の後の安全確認や工事を経て稼働しています。ですが、2011年以降は厳
しくなった基準とのせめぎ合いの中で、運転停止が続いています。
この柏崎刈羽原発というのは、首都圏の電力安定供給に関しては、非常に
重要な位置付けとなっています。これは北関東に鉄道や高速などで旅行して
みれば一目瞭然であり、北から南へ何本もの高圧幹線が通っているのが、ハ
ッキリ見えるのです。
また、東京電力という企業にとっても、福島の第一だけでなく第二も失っ
た今は、財務状態を改善するにはこの柏崎刈羽の再稼働は急務であるといえ
ます。もっといえば、日本の「2050年排出ガスゼロ」という国策を実行
するとともに、当面の日本経済が「即死」しないために、どうしても動かさ
ねばならない発電所の一つ、いや筆頭だと言えます。
ただ、柏崎刈羽については、この間、様々な問題が起きてきました。新潟
の地方政局が振り回されてきたということもありますし、テロ対策や、職員
のID管理など、淡々と指摘してしっかり改善すればいいことを、鬼の首を
取ったように報ずるメディアにも痛めつけられてきたという印象を持ってき
ました。
ところが、今回の「煙感知機の不正設置」スキャンダルというのは、全く
次元が異なります。
報道によれば、原子力規制委員会や東電などによると、今年(2021
年)2月に、規制委の検査官が柏崎刈羽7号機の電源設備のスペースにある
煙感知器1台について、設置位置が換気口から約1メートルしか離れていな
いことを発見したそうです。報道によれば4月に再度調査したところ、別の
2台でも問題が発見されたようです。
お粗末なのは、こうした指摘を受けて、東電は施設内の約2千台を対象に
改めて点検を実施したところ。今月16日、「複数の」設置場所の不備が見
つかったことを規制委に報告したそうです。報道によれば、一部の関係者に
よると、不備があった感知器は約100台に上るという証言もあるそうです。
これは愕然とする話です。
テロ対策の基準を満たしていないとか、職員がIDを忘れたので借りて入
ったのが密告されたというような次元の話ではありません。
煙感知機は、空調の吹き出し口から「150センチ離す」というのは、何
も原発のために作られた「特別に厳しい規制」ではありません。日本のあら
ゆる建築物に適用される消防法に規定された一般的な基準です。
どうして1メートルではダメなのかというと、それでは、空調の風が感知
機に当たってしまうからです。風が当たるというのは、煙感知器には致命的
です。風を直接受けることで、平常時には、余計な粉塵などをセンサーが感
じてしまう危険がまずあります。反対に、火災時には風が煙の粒子を吹き飛
ばしてしまって、感知が遅れる危険もあるのです。(続く)
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