■観察力とは何か?
良いクリエイターの条件は観察力だ。人生は長い。インプットの質
が長ければ、最終的にアウトプットの質も良くなる。インプットの
質を高めるものが観察力なのだ。
良い観察では、物事に仮説を持つ。客観的に観て、状態とのズレに
気づき、仮説を更新する。悪い観察では、仮説と物事の状態に差が
ないと感じ、わかった状態になる。その結果、仮説の更新が止まる。
観察は、問いと仮説の無限ループを生み出す。そのループが楽しい
から創作の源になるのだ。自分で見つけてしまった問いとセットだ
から、解きたくなる。これがモチベーションになるのだ。
★
観察を阻み、観察できない状態になってしまうのは、観察を阻む、
3つの要因があるからだ。この3つを避けることで、悪い観察に陥
ることがなくなる。
まず自分だ。観察を阻む原因は、たいてい自分にある。人は目でな
く、脳で観察している。脳内で何を見ようか先に決めて、脳が見た
いものを追認するような形で物を見ているのだ。
認知が先にあり、その後に観察があるのだ。つまり認知に関しては、
無意識的な行為なのだ。制御できない。その無意識的な認知を少し
でも把握するのが「仮説」なのだ。
仮説を言語化し、意識すれば、無意識的な認知も少しは意識できる
はずだ。観察を阻むものを理解すれば、仮説を歪めるものを理解す
ることにも通じるはずだ。
既存の認知が、観察を阻害する。悪い観察は、既存の認知が更新さ
れていない、既に知っていることを前提に観ている状態だ。これに
対し良い観察は、既存の認知に揺さぶりをかける行為なのだ。
★
観察を阻むものの2つ目は、身体・感情だ。観察は、自分自身の身
体・五感を通じて行われる。そのため、その状態によって質が大き
く左右されるのだ。
観察する対象は、絶対的なものではない。観察する主体の状態次第
で大きく変わるのだ。たとえば、疲労を抱えた体と体調万全の体で
は、同じものを見ても観察の質は変わってくる。
感情は、反応時間を短縮するために使われるものだ。思考をすっ飛
ばすツールなのだ。嫌なことを言われた時、ロジックを立てて怒る
かどうか決めことはない。すぐに判断し、反応する必要がある。
感情が観察を阻害することがある。そんな時は、思考を一回止める
べきだ。そして複数の感情を持ち、対象を見るクセをつけるように
するのだ。
複数の感情があるように、観察も感情によって見るべきポイントが
変わってくるのだ。このことを知っていれば、感情を利用して、対
象を見ることができるようになるはずだ。
★
観察を阻むものの3つ目は脳だ。人間の脳には、何かに注目すると
そこに「ロックオン」する特徴がある。注意をある一点に固定化し
てしまうのだ。だから、時間と空間を同時に注目できないのだ。
対象物だけを観察して、周りとの空間的な関係性や時間軸の前後を
意識せずに判断すると観察を誤る。時間・空間のコンテクストを同
時に観察することで、対象に迫ることができるのだ。
観察を阻害する時、3つの要因、すなわち「認知バイアス=脳」「身
体と感情=感覚器官」「コンテクスト=時空間」がバグを起こしや
すい。このことを意識するだけで、観察の精度は変わってくる。
この3つを総称して「メガネ」と呼ぶ。人は、メガネをかけて世界
を見ているのだ。多くの人は「自分はメガネなどかけていない」と
思い込んでいるが、メガネは絶対に外せない。
だから自分のメガネはどんなものかを理解し、それを利用すべきだ。
メガネを理解することが、観察を促進するのだ。短所が長所になる
ように、メガネも武器になるのだ。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)