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高野孟のTHE JOURNAL Vol.517 2021.9.27
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1118》
何をやってもドタバタして失敗続きのバイデン外交/そ
の根本原因はどこにあるのか?
【2】《CONFAB No.517》
閑中忙話(9月19日~25日)
【3】《FLASH No.429》
原発増強派が“闇の力”で巻き返しをはかる自民党総裁
選/日刊ゲンダイ9月23日付「永田町の裏を読む」から
転載
※付属写真館はお休みです。
■■ INSIDER No.1118 2021/09/27 ■■■■■■■■■
何をやってもドタバタして失敗続きのバイデン外交/そ
の根本原因はどこにあるのか?
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バイデン米大統領の外交がドタバタの連続で、世界中
に大迷惑を及ぼしつつある。
第1に、前後左右の気配りも目配りもなしにほとんど
衝動的に強行したアフガニスタンからの撤退である。
そもそもやるべきでなかった戦争であり、そのために
最初から達成すべき戦略目標が何なのか誰も理解しない
ままに始めてダラダラと20年間も続けてしまった戦争で
あるのだから、期限を決めて「エイ、ヤッ」と撤退を決
断したのは、偉いと言えば偉い。しかし、どんな物事に
も縦糸と横糸があり、少し複雑なことになれば斜め糸も
あったりして、その脈絡関係を慎重に見極め、それらを
全体として俯瞰して3次元方程式をどこにも落ち度がな
いように解を求めていくのが政治であり外交というもの
だろう。
●一夜で崩壊した米国製「アフガン政府」
米国自身の歴史的経緯を縦糸に例えるならば、オバマ
もトランプも、ブッシュ子が発動したこの馬鹿げた戦争
を止めにしたいと思ったけれども叶わなかったのは、米
軍侵攻でタリバン政権だけでなくアフガニスタンの国体
そのものを破壊してしまい、その跡に「米国式民主主
義」に基づく新国家を建設して差し上げようと思ったと
ころが全然上手く行かなくて、引くに引けなくなったか
らである。
だから、問題の争点は「引くか引かないか」ではな
く、「引いたとしても米傀儡の『アフガン政権』は何と
か自分の足で立って、タリバンとの難しい交渉に立ち向
かうことができるか」にあった。バイデン政権の判断
は、(1) 「アフガン政権」は少なくとも3カ月は持ち堪
え、タリバンとの交渉に当たるだろう、(2) タリバンも
いきなり首都を武力攻撃したりせずに政権側との交渉に
応じるだろうーーというものだったが、実際には、ガニ
大統領は逃亡し「アフガン政権」は一夜にして崩壊した。
結局のところ、米国のホワイトハウスも軍部も国務省
も情報機関も、アフガンで何がどうなっているかを全く
把握していなかったというこの元超大国の惨状には、呆
れるばかりである。その結果、あとは野となれ山となれ
という究極的な無責任を演じてしまった。
こんな、撤退というより逃亡というべきやり方である
ならば、前任者たちの誰でも実行可能であったろう。た
ぶんバイデンは「オバマもトランプも、断固やり遂げる
勇気がなかった。私は奴らとは違うぞ。決断できる大統
領なんだ」とでも考えたに違いないが、それは前後の脈
絡に目を瞑った余りに乱暴な猪突猛進でしかなかった。
●オランダの外相は辞任させられた
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