■30歳からのリーダーの教科書
三つ子の魂百までという。幼いときにそなわった性格は、一生変わ
ることがない。ビジネスパーソンも同じだ。その一生は、30代でほ
ぼ決まる。
なぜなら、青年には3つのアドバンテージがあるからだ。まず、若
くて元気があるからムリがきく。一晩くらい徹夜をしても大丈夫だ。
年をとるにつれて難しくなる。
そして若いから、失敗が許される。さらに、残された人生の伸びし
ろが広く長い。体力も気力も充実しているため、その気になれば学
ぶ時間がふんだんにあるからだ。
「鉄は熱いうちに打て」という。30代の青年は熱い鉄だ。今打たな
いければ冷えてしまう。歳をとってからでは「時すでに遅し」だ。
臍を噛むことになる。
日々、経験を積みながら、成長、成功のための「原理原則」を身に
付けることだ。「我流・自己流」は放っておけば「デタラメ流」に
なる。デタラメ人間はダメ人間になり、ついには負け犬となる。
★
「デキル人よりデキタ人」という。デキル人というのは才人だ。ス
キルが高い、技能に長けた人で実績もある。「手に職のある」人だ。
一方、デキタ人は『論語』でいう君子だ。人間力の高い、徳の人だ。
デキルだけの才人リーダーでは、部下の信頼を得ることはできない。
部下が「この人のためなら」と心を許してついて行くことができな
いからだ。
かといって、デキタ人というだけでも、部下は安心してついて行け
ない。安心してついて行くには、リーダーに部下を納得させるだけ
のスキル(才)が求められるからだ。
リーダーは、デキル人だけでは不十分だが、デキタ人というのも失
格だ。「デキルデキタ人」という二重構造の人でなければならない
のだ。
★
能力は他人が決めるものだ。人が犯しがちな勘違いの中で、おそら
く最も多いのが自己評価だ。評価の軸は、その人の実体と実績の2
本立てだ。
しかし、人は自分で自分を評価するときには2割以上のインフレで
評価する。そして他人は2割以上のデフレで評価する。2割と2割
で4割だ。この差は大きい。
人は、自分は実際の自分より優れていると思い込み、他人は実際よ
りダメな奴と思い込む。2割増しの自己評価は、思い上がりという
勘違いを生む。
そのせいで自分が思うほどには評価されていない現実とのギャップ
に悩むことになる。そもそも人の能力の有る無しや高い低いは、自
分でなく、他人が決めることなのだ。
★
思い込みによる自信は、正しく使えば、本人にも周囲にもよい結果
をもたらすが、自信が過信や慢心、さらには傲慢へと増幅すると、
最後は破綻という悪しき結果を招くことになる。
人生を誤りかねない過信・慢心・傲慢という心の罠を免れるには、
自己評価は2割引で、他人を評価は2割増しでやることだ。だが、
それはなかなかできない。
とは言えできることもある。手軽で効果的なのは、第三者の批評に、
謙虚に耳を傾けることだ。人は、他人の評価は頼まれなくても積極
的にするものだ。こうした機会を有効に活用するのだ。
他人の評価は、それがどんなに耳の痛い話でも、利害関係のない人
からの評価なら現実に近い。そして、何をどう改善すればよいのか
についての暗示が含まれていることも多い。
だから、他人からの評価、特に耳の痛いことを言ってくれる人の言
葉には、精一杯真摯な態度で、丁寧に聴くことだ。そして、聴いた
後には、一言お礼を欠かさないことも大事だ。
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