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【Vol.398】冷泉彰彦のプリンストン通信『岸田新政権の経済感覚を疑う』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「危機に瀕している象徴天皇制」  秋篠宮眞子内親王の縁談は、正式に臣籍降下と婚姻という手続きに進むこ ととなりました。これに伴う賛否両論、そして皇族数の減少の問題、そして 何よりも皇位継承の危機、皇位に耐えうる継承者教育の欠落という問題は、 全体的に象徴天皇制の危機、つまりは「国のかたち」の崩壊の危機を示唆し ていると考えます。  今回は、あくまで議論の材料として、考えたことを箇条書きでメモしてお きたいと思います。 (1)今回の縁談については、象徴天皇制の根本的な矛盾の典型例が見られ る。まず、印象論から縁談に反対する勢力は、基本的に皇室には国家を維持 するための無私の奉仕を期待する層であり天皇制度への積極的関心層である。 一方で、恋愛の自由や個人の人権を前面に持ってきて、自由な恋愛結婚こそ 「近代主義の象徴」だとする勢力は、天皇制度への無関心層を代表している。 (2)現代の立憲君主制は、憲法の規定によって君主の政治的権力を停止す る点では既に定着しているが、問題は「国のかたち」という典礼、外交儀礼 に関わるコストについて、納税者の理解が得られるかという点であり、英国 で長年クリティカルであったように、日本でも同様の問題が深刻化している ということになる。 (3)象徴天皇制度は、英国王ジョージ5世と、日本の摂政宮裕仁親王(当 時)が原型を確立した、近代の立憲君主制の一つのバリエーションである。 そして、近代の立憲君主制において君主とその一族は、出自によって幼事か ら「無私の国家への奉仕者」「絶対的な政治的中立」「極めて高次な倫理的 態度(福祉施設を視察しても偽善性を全く感じさせないレベル)」「高度な 外交儀礼の継承者」「他でもない立憲君主制(象徴天皇制)イデオロギーの 最高の理解者と実践者」を教育されることが宿命づけられている。にもかか わらず、その教育体制が全く不完全であることが露呈している。  ということで、このまま推移するようですと、皇嗣断絶という遥かに以前 のタイミングで、つまり昭和朝(ダイナスティ)の中で象徴天皇制度が内部 崩壊してしまうのではと危惧しています。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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