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第14回:法案の内容に影響を与えるためには ‐国会提出後-

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2021/10/13
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1.政府が出した法案が成立しないこともある 突然ですが、皆さんは政府が国会に提出した法律のうち、どれくらいが成立すると思いますか? 衆議院のHPによると、2021年の第204回通常国会で審議された閣法(内閣が提出した法律)は64本。そのうち62本が可決成立、2本が継続審議となりました。少ないですが5%程度の法律は成立しないということになります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 参考:継続審査とは 国会の会期中に、国会に提出された法案については、その国会の期間内に成立させることが原則です。国会の期間内に成立しなかった法案は廃案となります。ただし、国会で継続審査の議決を行った場合には、次に開催される国会で引き続き審議することができます。 ーーーーーーーー参考終わりーーーーーーーーーー 国会の過半数を占める与党の人間で構成された内閣が、この法律が必要だ、と閣議決定して国会に出した法律です。そして、閣議決定前には事前審査という与党の了承を得るプロセスを経ています。普通に考えれば、100%通るはずです。 でも実際にはそうなりません。閣法を提出したからといって必ずその国会の期間に成立するわけではないのです。 今回は、政府与党の議論を経た後、国会に提出された法案が成立するまでのプロセスをご説明し、法案に影響を与える方法を考えていきます。その中で、国会に提出された閣法が成立しないパターンについても解説します。 政府与党内での法案策定プロセスを解説した前回の記事と今回の記事を合わせて読めば、ぼんやりとしか見えていなかった政治ニュースの内容の解像度が上がること間違いなしです。 2.国会審議をチェックすべき理由 気になっている法律の国会審議は、生中継でみましょう。それが無理ならせめて議事録にはしっかり目を通しましょう。 多くの人は審議が終わったあと、国会審議の内容を新聞やネットニュースで見るだけかと思いますが、生の情報に触れていただきたい理由があるのです。 その理由は、国会の質疑の中で、その法案の具体的な内容が明らかにされることがあるからです。 実は法律の条文からは制度の大枠は把握することはできますが、その具体的な内容を詳細に知ることは意外と難しいのです。 制度の詳細は、法案が成立後、法律の下位に位置する政令や省令、さらには大臣告示や局長通知などで定められます。 例えば会社法にはこんな条文があります。 (業務の執行) 第348条 第3項 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。 四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備 この条文だけを読んで 「業務の適正を確保するために必要な体制の整備」が何なのかわかる人はいないですよね。

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